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ダウンアンダーで活躍する
素敵な日本人女性ライフセーバー
2015/04/20

Japanese lifesaver to be active in Australia!

LSwebサーフライフセービングの本場、オーストラリア。

日本で活動するライフセーバーなら、誰しも一度は訪れ、その活動を自分の目で見てみたいと思っているのではないだろうか。

1990年代、日本のライフセービングシーンで活躍した一人の女性ライフセーバーがいた。彼女はその後オーストラリアへ……。それから20数年。

今もライフセービングに関わりながら、オージーライフを満喫するハナコ・スズキ・マッコームさんを、日本のライフセービングの発展に尽力し、現在もJLA国際室室長として活躍する、相澤千春さんに取材していただいた(LSweb編集室)。

文・相澤千春(西浜SLSC)
写真・相澤千春(西浜SLSC)/遠藤恵子(バディ冒険団)





豪国ビクトリア州の「Jrサーフカーニバル」へ

LSweb 2015年2月初旬、湘南を中心にライフセービングを含む、さまざまなアウトドア活動を繰り広げるジュニア向けの団体「バディ冒険団」の有志が、縁あって、オーストラリア・ビクトリア州のジュニア・ステイト・カーニバルに出場するという話を耳にした。
 同じ時期、私用で渡豪の予定があった私は、彼らに同行させてもらうことになった。

 バディ冒険団の小学生メンバー4人が、メルボルンの南東20kmに位置するメントーンSLSC(Mentone SLSC)のメンバーと一緒に、ステイトカーニバル(州選手権)に出場するという素晴らしい機会をアレンジしたのは、ハナコ・スズキ・マッコーム(Hanako Suzuki McComb)さん。

 鈴木花子さんは、90年代前半に東海大クレストのメンバーとして、二宮袖ヶ浦海岸でのパトロールや競技で活躍、大学卒業後も仕事の傍ら、しばらくは二宮LSCのメンバーとして活動を続けていた。

 その後、子どものころからの夢だった「海外」へ。当初、アメリカ西海岸への渡航を希望していたが、治安が悪くなってきたため諦め、お父様の知人をたよりにビクトリア州のメルボルンへ渡ることにした。ライフセービング競技からは引退していたので、あえてクイーンズランドは選ばなかったそうだ。

LSweb そして、メルボルンで貿易業を営むオーストラリア人男性、マルコム・マッコーム(Malcolm McComb)さんと出会い、結婚。3月に12歳になった双子の男の子、デックラン 虎(Declan Tora)くんとアレック 龍(Alec Ryu)くんに恵まれ、現在チャルトナム(Cheltenham)という閑静な街に家族4人で暮らしている。

 私自身、花子さんとは20年以上ぶりの再会でとても楽しみだった。 端正な顔立ち、爽やかな笑顔は当時のままだったが、長身で小枝のようにか細かった体つきが、さすが「2人の男の子のママ」を思わせるがっちり体型(太っているのとは違います)になっており、会った瞬間になにかホッとする感じがした。

 懐かしい再会もつかの間、カーニバルを2日後に控えていたので、ジュニアたちのトレーニングセッションに参加するため、花子さん、アレックくんとディクランくんの案内で、すぐに所属するメントーンSLSCへ向かった。

子どもたちがきっかけでLS活動を再開

LSweb バディ冒険団の子どもたちは、50~60人のクラブメンバーの前で「はるばる遠い日本から来た友だち」として紹介をされた。
 そしてすぐに、年齢ごとのグループに参加し、ビーチとオーシャンでかなりハードなトレーニングを経験した。長旅の疲れもあって、きっと大変だったことだろう。

 そんな光景を見ているうちにいつしか、花子さんの何気ないなかにもテキパキした動きや表情に、釘付けになっている自分に気がついた。

 指導にあたるコーチたちや、クラブメンバーのママ友たちから「Hana! Hana!」と慕われている彼女は、すすんでコーチたちのサポートに回り、またウォーターセーフティーのボランティアが足りないと見るや、サッとラッシュを着てチューブを抱えて海に駆け込んで行った。

 聞けばメントーンSLSCの事務局の仕事にも従事しているという。

 クラブメンバー約1200人分の会員登録や、約100人分のパトロール時間の調整、11〜4月に行われるジュニア、シニア、マスターズのカーニバル(競技会)の参加登録、カーニバルでのオフィシャルや、ウォーターセーフティー担当スタッフの割り当て、ブロンズ資格試験の書類関係、事務処理、支払い業務等々が主な仕事だそうだ。
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 さらに、大会などではU12のウォーターセーフティーを担当し、オフシーズンにはCPRコースの手伝い、昨年からはパトロールにも入るなど、アクティブな仕事もこなしている。

 彼女がメントーンSLSCに入ったきっかけは、息子たちが2011年夏にニッパーズ(U9)を始めたこと。家から一番近く、学校の友だちもいたことから、このクラブを選んだそうだ。
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 メンバーになって間もなく、ウォーターセーフティーのボランティアを頼まれ、以来ずっとウォーターセーフティーに関わっている。それがきっかけで、ブロンズ資格を取り→パトロールに参加し→マスターズに出場する、と活動の幅を広げてきた。

 メントーンSLSCのメンバーとして、その大切な役割を実にさりげなくこなし、あの20年前と同じ爽やかな笑顔に加えて、2人の息子を見守る優しいまなざし。大会中、我が子をカメラで追い、大きな声援を送る姿は母親そのものだった。

 花子さんのそんな活躍ぶりに私は、女性のライフセービング活動への関わり方の理想を見せられたような思いだった。花子さん、とてもすがすがしい気持ちと感動をありがとう。
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六大学のライフセーバーが集結!
第3回 東京六大学ライフセービング対抗戦
2015/01/28

明治大学和泉校舎体育館プール 2015.1.25

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大学野球の対抗戦に端を発した東京六大学対抗戦。

今では野球だけでなくさまざまなスポーツで、あるいは文化系イベントでも、六大学間の交流が行われている。

ならばライフセービングでもやろうじゃないか!
と始まったのが、今年で3回目を迎えた「東京六大学ライフセービング対抗戦」だ。




文・写真=LSweb編集室、レセプション写真=岡村真理(法政大学SLSC)





六大学が初めて勢揃い

LSweb 慶應義塾大学、早稲田大学、明治大学、法政大学、立教大学、そして東京大学に所属する学生ライフセーバーたちの親睦と、レスキュー技術の向上を目的に2年前から行われている「東京六大学ライフセービング対抗戦」が、今年も明治大学和泉校舎の体育館プールで開催された。

 六大学対抗戦と銘打ってはいるが、実は過去2回は6校すべてが顔を揃えたわけではなかった。というのも、大学によって活動環境にかなり差があり、メンバーの数もだいぶ違うからだ。

 例えば早大、法大、明大の3校には学校公認のライフセービングクラブ(いずれも同好会サークル)がある。明大は2008年の創部と比較的新しいが、早大と法大はクラブ発足から20年以上の歴史がり、インカレでは他大学の体育会ライフセービング部と互角の成績を納める強豪だ。

 一方、慶大、立大、東大はメンバーが少なく、学校単位での活動はなかなか厳しいのが現状だ。そこで慶大の浦 健太さんは鎌倉LG、立大の矢口広大さんは波崎SLSC、東大の田中えりかさんは大竹SLSCといった具合に、各人が地域クラブでの活動をメインに行っている。

 そんな立場や境遇の違いを超えて、6校すべて、総勢48人の学生ライフセーバーが集合した今大会。会場設置から大会運営、さらに親睦会の準備まですべてを自分たちで行い開催された。
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ユニークなオリジナル種目満載

 六大学対抗戦では、会場となる25mプールに合わせて、さまざまなオリジナル種目が考案され、実施されている。

 例えば、フィンなしでの潜水→スイム→マネキンキャリーを行う「100mMARUHASHIメドレー」や、12.5mごとにプールの底にタッチ(障害物の替わり)する「100m紺碧スイム」、4人のリレーで2泳と4泳がチューブを使用し、マネキンの替わりに前泳者をトウとキャリーする「150mレスキューリレー」など。
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 短水路というだけでなく、水深や機材の不足を逆手に取った、なかなかよく考えられたアイディア種目だ。

 また、欠場者が出たときにはその場でのエントリー変更にも応じ、リレー競技でコースに余裕があれば、“ハイブリット”と呼ぶ即席の混合チームを作って参加するなど、交流試合ならではの臨機応変さが光っていた。
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 さらに全競技終了後には、学校枠、男女枠を取り払った混合4チームによる“オマケ”のマネキンリレーも行われ大盛り上がり。和気あいあいの1日を通し、六大学間の親睦は一気に深まったようだった。

LSweb 運営の中心メンバーとなった実行委員の面々に話しを聞いてみよう。

 「六大学間の交流と、救助力の向上を目指して行っている対抗戦ですが、今回はメンバーの多い、早稲田、法政、明治の3校が実行委員会の中心メンバーとなり、準備を進めてきました。初めて六大学全部のライフセーバーが集まることができ、無事に終わってほっとしています」(実行委員長の早大2年、田中拓耶さん)

 「自分たちで進行するのは初めての経験で、最初はこんなにぐだぐだでいいのかなと不安でしたが、臨機応変にメンバーを入れ替えたり、飛び込みでハイブリッドチームが参加したり、ちょっとゆるい感じでやっていくことで親睦が深まるのかなと思っています。改善点もあるとは思いますが、こんな感じでいいんだなと実感しています」(法大2年、澤木達哉さん)

LSweb 「今回が3回目ということで、学校側からもすぐにプール使用のOKが出ました。所属する地域クラブのつてで、カワサキスポーツさんから総合優勝や全競技の優勝者に賞品をいただきとても感謝しています。冬場にこういう機会があって、学校や浜を超えたライフセーバーと交流できるのは楽しいですね」(明大2年、湯浅泰旺さん)

 選手宣誓からオマケレースまで、終始、賑やかな雰囲気で行われた今回の対抗戦。

 優勝は65ポイントで早大、以下、法大(56ポイント)、明大(23ポイント)、立大(8ポイント)、東大(0ポイント)、慶大(0ポイント、競技参加者なし)と続いた。


LSweb ところで、六大学のライフセーバーが初めて勢揃いした今回の対抗戦だが、前途は必ずしも洋々とはいえないようだ。
 立大の矢口さんは3月で卒業。後輩は残念ながら一人もいない。東大の田中さんも学内に仲間はおらず、4月からは4年生となる。

 対抗戦や地域クラブの繋がりを活かし、人数の多い大学が人数の少ない大学の新歓を手伝う、といった交流は続いているようだが、すぐに成果に結び付かないのも事実のようで、人材確保は学生ライフセーバーにとっても頭の痛い問題だ。

「4月からは社会人になるのでどこまでできるか分かりませんが、資格を活かして指導できるようになれば、少しは役に立つのかなと思っています」
 という慶大の浦さんのような方法も、学校クラブとの関わり方の一つだろう。

 少人数でも活動を続けてきたのは熱血ライフセーバーの証。来年も全校揃った六大学対抗戦が賑やかに開催されることを期待しよう。
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優勝カップを手にする早稲田大学

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対抗戦終了後の表彰式&交流会も楽しみのひとつ





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みんなで手をつなごう!
第9回西浜CUP、開催
2014/11/19

52年目の新たな歩み、大人も子どもも一致団結

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この秋、各地でいくつものローカル競技会が開催された。

規模はそれぞれ違えども、いずれもライフセーバー同士の交流と、活動の普及を目的に行われたものだ。

こうしたファンレースの基礎となるのが、クラブ内で開催される競技会イベントだろう。

まずはクラブメイトで団結すること! そんな目的で開催された、西浜SLSC恒例の「西浜カップ」のレポートが届いたのでご紹介しよう。(LSweb編集室)

レポート=小田切伸矢(西浜SLSC)
写真=荒井 閑(西浜SLSC)





みんなで手をつなごう、西浜カップ

LSweb 西浜カップは当初、ジュニアの競技会がなかった頃に、ジュニアの子どもたちが、これまで培った成果を発揮できる場として始められたもので、今ではジュニアはもちろん、クラブ会員の子どもから学生、社会人まで集まる交流の場として開催している。
 今回の西浜カップは、10月26日(日)に総勢195人のクラブ員が参加し開催された。

 9回目となる今回のテーマは「52年目の新たな歩み〜みんなで手をつなごう〜」。

 昨年は、台風の影響でビーチ種目のみの開催となったが、今年は秋晴れの空の下、波も穏やかな中、ビーチ種目・オーシャン種目を無事に開催することができた。

 まずは全員でビー チクリーンを行い、競技開始。各学年、各年齢層の子どもと大人が混ざって混合チームを10チーム結成し、ビーチリレー、宝探しリレー、ビーチフラッグス、ニッパーボードレース、ニッパーボードリレーの5競技を実施した。

 チーム名は海の生き物の名前からとり、イルカ、クジラ、カメ、クマノミ、シャチ、クラゲ、アザラシ、ペンギン、サメ、チンアナゴとした。

オリジナル競技で大笑い

LSweb 競技内容は、基本的にジュニア・ユースの大会に沿った競技内容で行っているが、各チームで今回のテーマである「みんなで手をつなぐ」を実践してもらいたいと、リレー形式のチーム競技を多く実施。

 今年は小麦粉の中に隠れたマシュマロを探す、「宝探しリレー」というお楽しみレースも取り入れた。

 チーム種目は、子どもと大人の混合チームで、ビーチリレー、ニッパーボードリレー、そして宝探しリレーを行い、個人競技は、学年、年齢別にビーチフラッグス、ニッパーボードで競い合った。

 朝の自己紹介の時は緊張した様子だったメンバーたちだが、競技が始まると真剣な顔つきになり、どのチームも子ども、大人関係なく相談し合い、チーム内が一致団結。それぞれの競技で仲間を応援する姿 、真剣な表情、楽しそうな笑顔を見ることができた。

 特にお楽しみリレーでは、真剣な表情で顔を小麦粉で真っ白にしている様子がおかしく、応援しているほうも皆が笑ってしまった。

 また個人競技では、学年が上がって行くにつれ緊張感も増し、中学生のビーチフラッグスは大人と変わらない雰囲気。
 社会人の30代以上は「怪我なく、安全第一!」を目標としたが、三浦秀樹理事長が急遽オープン参加したことで安全第一は忘れ去られ、皆さん必死にフラッグに食らいつき、会場を更に盛り上げてくれた。
 「いやぁ、怪我がなく本当に良かった(笑)」

 ニッパーボードでは、低学年の選手が途中でバランスを崩し海に落ちても、すぐに立ち上がり乗り直し必死にゴールを目指すといった、社会人と変わらない姿を見ることができ、高学年になると少しのうねりを上手く乗りこなしあっという間にゴールしていた。

 そんな選手たちの姿を見て、運営スタッフもオフィシャルとして真剣に、また楽しんで取り組むことができた。
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シメは恒例のBBQで

LSweb 開会式ではなんとなくぎこちなく、緊張した面持ちだった各チームメンバーも、閉会式では笑顔、笑顔。メンバー同士で多いに盛り上がっていた。

 最後はお待ちかねのBBQ。お腹をすかしたメンバーが、我先にとお肉に食らいつき、普段はなかなか顔を合わせることのないメンバー同士が話したり、久しぶりに会う仲間と談笑したりと、それぞれが西浜カップを楽しんだ。

 西浜カップは、準備から競技運営までクラブ員の一人一人の協力があって開催できる競技会だ。今回も沢山のクラブ員にご協力頂き、大会を成功裏に終わらせることができた。

 また、今大会にご協賛頂きいたビラボン湘南店様、かんぽ生命様、ハンド&サム鍼灸治療院様、ガードショップ様に心より感謝します。ありがとうございました。

 今年は西浜サーフライフセービングクラブ創設52年目。これからもより一層、地域に貢献できるような深みあるクラブを目指し前進していく……そう気持ちを新たにした西浜カップだった。

☆西浜カップ 総合結果☆LSweb

1位 シャチ 230P
2位 カメ  220P
3位 チンアナゴ 200P
4位 クラゲ 190P
5位 クマノミ 180P
6位 クジラ 170P
7位 サメ 160P
8位 ペンギン 140P
9位 イルカ 100P
10位 アザラシ 60P











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千葉の海を守るライフセーバーたちが大集合!
大盛況の第12回房総カップ in 御宿
2014/11/06

The 12th BOSO Cup 2014.10.25-26 御宿中央海岸

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10月最後の週末、千葉県の御宿海岸で第12回房総カップが開催された。

ローカルの大会ながら、選手384人、スタッフ85人、総勢469人が参加し、日本ライフセービング協会(JLA)が主催する競技会に匹敵する規模となった一大イベントの様子を、審判長として参加した中島典子さんと、選手として活躍した亀ノ上僚仁さん、田家友也さんにレポートしてもらった。

年々、参加者が増える房総カップの人気の秘密を紹介しよう。(LSweb編集室)


レポート=中島典子(館山SLSC)
写真=松永 祐、鎌田 優(共に九十九里LSC)




千葉県内のクラブが一同に集結

LSweb 多くのライフセービングの競技会がそうであるように、房総カップも水辺の事故防止と安全思想の普及を目的として、海水浴場を中心に活動するライフセーバーが集い、日ごろより行っている救助技術のトレーニングの成果を競うために行われているものだ。

 加えて房総カップは、千葉県内のクラブ間の連携強化、大会運営のノウハウ共有を目的に2003年より毎年10月に行われ、今回で12回目を迎えた。

 房総カップの特徴の一つが、県内で活動するクラブが持ち回りで開催しているということ。つまり、開催地が毎年変わるのだ。

 開催にあたっては、房総カップ実行委員会が開催地クラブをサポートしており、第1回大会から3回までは蓮沼殿下、それ以降は勝浦守谷→銚子マリーナ→岩井海岸→富浦原岡→館山北条→白浜根本→山武本須加→勝浦守谷→御宿中央とラウンドし、来年の第13回大会は銚子マリーナでの開催が決定している。

 房総カップのもう一つの特徴が、地形や環境に合わせて考案されるオリジナル種目だ。
 今回は「房総チャンピオンライフセーバー」や「スキーリレー」が行われ、第10回の本須加大会では、外房の広い海を利用して4km程度の「スキーレース」も行われた。
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  チーム種目を増やした大会では、通常4人で行われるビーチリレーを6人で行ったり、男女混合種目が多いのも特徴といえるだろう。

 ところで、今回行われたオリジナル種目の一つ「スキーリレー」だが、考案時にはメンバー3人それぞれがスキーを用意することを想定していた。ところが直前になって、「ハンドラーが担いで走り、スキー1艇を乗り継ぐ方法で出場してもいいか?」との問い合わせが入った。

 考えようによっては遅延行為どころか、危険行為だと言われそうだが、そこは房総カップ(笑)、ほかの選手の妨害にならないこと、大きく遅れるようであれば途中であっても止めること、を前提に出場をOKし、1チームは見事に決勝に残った。
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10月下旬といえば……!

LSweb 房総カップはここ3年ほど、沖の三角ブイが(オレンジの)カボチャに変身している。実はこれ、実行委員委員たちの発案で、一通り準備がすんだ夜11時頃、こっそり安全課のテントに忍び込み、気づいた時の選手たちの顔を想像しながら細工しているのだ

 携帯のライトで照らしつつ「目がズレた」の「鼻が剥がれた」のと言い合う作業は、何度目になってもワクワクして仕方がない(笑)。

 今年はノリの良い選手の存在も手伝ってハロウィン色が強く出たが、競技種目から演出まで、ホストクラブが自由にしていいのも房総カップの魅力の一つだ(実行委員自ら「暴走カップ」と表記するほどだった)。

 昨年の勝浦大会ではホストクラブから、地元名物「勝浦タンタン麺」が振る舞われた。辛さにむせるとは分かっていても、豪雨で極寒の大会、並んでまで食べたのはここだけの話だ。

 あまり言うと、来年のホストクラブである銚子メンバーから苦情が入りそうなのでここまでにするが……、来年以後の大会もぜひ楽しみにしていただきたい!
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オフィシャルとして大会に参加して

LSweb 私はオフィシャルなので少々偏るけれど、実行委員として運営に携わるようになって今年で5〜6年目となる。

 ちょうどその頃から、大会へのエントリー人数が大きく増えはじめ、各クラブからの選出だけではオフィシャルが足りなくなり、オフィシャル限定で千葉県外の方々へもお声がけし、お力を借りるようになった。
 今大会も3つのエリアのうち、2つのセクションレフリー(兼チーフジャッジ)は県外クラブ所属の方にお願いせざるを得なかった。

 房総カップは千葉県内で活動するクラブを対象とした大会だ。
 このまま甘え続けるのではなく、2017年に開催予定の第15回大会までには、各エリアのセクションレフリーは、県内クラブ選出メンバーで行えるようにしていきたい(もちろん県外クラブ所属のオフィシャル受け付けは継続します!(笑))。

 先輩方をさしおいて私が言うのは甚だおこがましいのだが、ライフセービングの大会運営にあたり、オフィシャルの人数・経験不足は深刻だ。ルールが細かいため、きちんと把握しきれていない選手もチラホラ見受けられる。
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 ローカル大会といえども、房総カップは規模も大きく、決勝となれば全日本本戦の決勝に残るメンバーも多い。
 10回以上を数えることになった今だからこそ、ただのお祭りとして騒ぐだけではなく、必要最低限のことは公式大会に揃え、参加者全員の経験値を高め、ひいては千葉県内にとどまらず幅広くライフセービング界に貢献できるように、そんな大会にするにはどうするべきか考えていきたい。

 

 もちろん、パワー全開で楽しむことも忘れずに!


 シーズン節目となる房総カップ。
 この大会では、とても晴れやかな顔が多いのが自慢だ。これからもずっと、誰もが楽しめるこの大会を大切にしていきたい。
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房総カップに参加して

「お祭り気分で楽しんで」
 朝一に行われた代表者会議で、審判長の中島典子さんが言った一言。これぞ房総カップだ!

 大会会場の設営はインカレや全日本と同じようで特に変わりはないが、シーズンも終わりに近づき、選手やオフィシャルたちがリラックスして和気あいあいと参加できるのが房総カップである。

 今回、私が出場したのは「房総チャンピオンライフセーバー」という、林 昌広 実行委員長が考えた種目だった。
 簡単に言うと、サーブ、ボード、スキーそしてオーシャンマンを一人が行う競技で、この種目に出場する場合は、他の種目に出場することができない。

 ボードレース、サーフレース、サーフスキーレースをそれぞれ行い、順位に応じたポイントで総合順位を決定。最終のオーシャンマン/ウーマンレースは、総合順位のポイント差を秒数換算して(1ポイント=2秒)、時間差スタートし、フィニッシュの順位を競うのだが、全体的にランの距離が長いことと、1日ですべての種目をこなすため、疲労の溜まり方がハンパない。
 それでも、7人の参加者が励まし合いながらがんばり、全員がフィニッシュ。そして嬉しいことに、私は優勝することができた。

LSweb この種目をこなしながら思ったのは、自分たちも楽しめたが、周りで応援してくれた人たちも楽しそうだったということだ。
 また来年も皆で盛り上がれるよう、自分にできることをしていきたいと思った。

 もう一つ思ったことは、大学に入学して4年目となるが、勝浦LSCチームにこんなにも社会人が集まったのは始めてということだ。これもきっと房総カップだからできたことなのだろう。

 これを勝浦LSCが変わるきっかけにし、来年以降もさらに多くのメンバーで参加できるようにしていきたい。[文・亀ノ上僚仁(勝浦LSC)]


 
    


    
 
房総カップの魅力

 房総カップの魅力は、なんと言っても独特の「緩い雰囲気」である。

 手作りの柿やリンゴのコンペキャップの選手がいたり、ゴールする選手を迎えるためにみんなでアーチをつくったり、審判が仮装したり、総合優勝チームには景品で伊勢エビがでたり……。
 そして何より海にゴリラがいる! これらは房総カップだからこそできることだ。

 今年の房総カップは初の2日間開催ということで、例年よりも種目数が増えた。私は個人種目とチーム種目、合わせた5種目に出場した。

 ボードレースでは優勝が狙える位置にいたので、アウトで1番に走り出したものの直後にインショアホールに足を取られ転倒……。結果は4位! 安全課の方に言われたとおり、勝敗を分けたポイントはボードを降りるタイミングだった。あ〜あ。

 サーフスキーリレーは房総カップのオリジナル種目で、サーフスキーを複数艇用意し、かつ男女混合でスキーを漕げる人を3人用意しなければならないという、参加するだけで一苦労のレースだった。
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 しかし、サーフスキーを1艇しか用意できないチームは、ハンドラー2人がスキーを持って疾走し、1艇を3人でまわすという面白いチームもいた。そんなイレギュラーなことが許されてしまうのも、房総カップの楽しさだ。

 全日本選手権や学生選手権では考えられない雰囲気や、種目があることで、今年も房総カップは大いに盛りあがった。大成功の大会を支えてくれた皆さんに感謝したい。[文・田家友也(九十九里LSC)]


 
    






今明かされる……
関西ライフセーバーズ運動会 誕生秘話!
2014/10/29

The very first story of "Kansai Lifesavers Sports Day"

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和気あいあい、大いに盛りあがった「関西ライフセーバーズ運動会」。
その影には、主催者の熱い思いがあった!

今回は、大会実行委員長である神戸LSCの那須祐介さんに、ライフセーバーズ運動会にかける想いを綴ってもらった。

大会を開催するにあたっては、深い、深いワケがあったのである。(LSweb編集室)


文=那須祐介(神戸LSC)
写真=毛利 智(神戸LSC)





石を投げられた苦い思い出

LSweb 「関西ライフセーバーズ運動会」には大きな目標が二つある。一言で言うと、一つが交流。そしてもう一つが競技の楽しさを伝えることだ。

 関西圏のみならず、西日本ではライフセービングはメジャーではない。私がこの活動を始めた頃は、石を投げられたことさえあった。それから十数年の歳月が過ぎ、さすがにそのようなことはなくなったが、いまだに「ライフセービング」と言うと、「何それ?」という言葉が返ってくることがある。

 また、西日本では社会人が活動の主流だ。
 日々、職場で働き、家族サービスや子育てをし、やりくりした時間で海に来て、パトロール業務やトレーニングに取り組むのはそう容易なことではない。
 
 関西圏どころか、同じクラブ内でも交流することが難しいくらいだ。さらに言えば、家族に「ライフセービング」という活動を理解してもらうのも、なかなか困難なのが現実である。
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 だからこそ、交流の場を設ける必要があると感じていた。クラブメンバーとの交流はもちろん、同じ関西圏で活動するライフセーバーとも、そして我々を影で支えてくれる家族という存在にもライフセービングを知ってもらい、一緒に汗を流して交流ができる場を設けたいという気持ちは、日を追うごとに強くなっていった。

 ヒントとなったのは、神戸LSCが毎年秋に行っていたクラブ内運動会だった。元々は体力測定の場だったのだが、私が実行委員を担当することで、交流の場へと変えていった。

 クラブメンバーと、それをサポートしてくれる家族や地域の人たちを二つのチームに分け、誰もが楽しめる競技を取り入れて、みんなで汗を流しながら交流する、そんな神戸LSCの運動会を、関西全体に呼び掛けて、各クラブのライフセーバーが集まれば、交流の場になるのではないか。
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 そういう想いから、当時、個人的に交流があった京都LSや西浜SLSCのメンバーに参加を打診したのが、関西ライフセーバーズ運動会立ち上げのきっかけとなった。

 その時の運動会を終えた後に、参加したメンバーから「違う浜のライフセーバーと知り合えて楽しかった」と感想をもらった瞬間、これは関西全域に広げるべきだと確信したのだった。

敷居の低い競技会を

LSweb 競技という面で比べると、関西は東日本、中日本から劣っていると認めざるを得ない。技術ウンヌンもさることながら、そもそも競技人口が非常に少ないのである。

“ライフセービング=競技”と思っているわけではないが、人命救助の活動をする以上、日々身体を鍛え、技術を磨く必要はあるだろう。

 私はライフセービングを始めた当初、何も分からないまま競技会に出場し、大恥をかいた経験がある。しかし、そこで目の当たりにした技術や体力の違いには、大変大きな刺激をもらったものだ。
 だから今も恥をかきに行っているようなものだが、毎年、刺激をもらいに競技会に出場している。

 その魅力を若いメンバーに伝えようと必死に語ったり、誘ったりするのだが、なかなか良い返事をもらえない。正直、どうして参加するメンバーが少ないのか理解できないでいた。
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 そこである時、競技について「何で出場しないのか?」と尋ねたことがあった。返事は「敷居が高いような気がする」というもの。満足いくトレーニングもしないで、競技会に出て良いのだろうか……ということだ。

 「なるほど。そういう風に捉えられているのか」と思ったが、「それなら敷居の低い競技会を作ったらええやん!」と、ピンときた。

 競技に出たことのないメンバーには、気軽な気持ちで出場できる競技会。競技に出ているメンバーには、力試しになる競技会。我々を影ながらサポートしてくれる家族も参加できるような競技会。交流の場として関西全域に広げようとしていた運動会を、そういう競技会にしようと決意するのに、そう時間はかからなかった。
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関西競技実行委員は強者揃い!

LSweb 思い立ってすぐに神戸のメンバーに伝え、京都LS、そして若狭和田LSCにも声をかけた。

 誰もがすぐに賛成してくれて、快く協力してくれることになった。そうして、関西に競技会を作り、盛り上げていこうという同じ志を持った「関西競技実行委員会」が発足した。

 開催地も、若狭和田LSCが名乗りを挙げてくれたので、すぐに決まった。
 しかし、苦労がなかったわけではない。何もないところから始めたのだから、ないないづくしだった。

 特に困ったのは海上に浮かべるブイだ。一年目は、浮き輪等を紐でしばってブイとしたが、今年は廃材を利用してブイを手作りした。
 ビーチエリアのペグも、着順を示す札も、すべてが関西の競技会を盛り上げようと考えたメンバーたちによる手作りだ。
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 さらに今年は、音響設備や掲示板をメンバーがそれぞれ準備してくれて、おまけにみんなでワイワイ食べて楽しもうと、参加者全員分のランチを作ってくれるまでにパワーアップした。

 大会の広報活動も、メンバーが自主的に行ってくれた。だから運営するにあたって苦労らしい苦労は感じなかった。

 必要な器材や道具の準備、人が集まることによって生じる宿の手配にしても、実行委員のメンバーが分担して快く引き受けてくれる。意志の疎通が上手くいかないこともあるが、同じ志を持った者同士、すぐに分かりあえるところが強みだ。

 なんと言っても、関西競技実行委員の面々は、そういった苦労を楽しさに変える強者揃いなのである。
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〝継続は力なり〟続けることに意義がある

LSweb 関西というネーミングからも、大阪LSCや大阪体育大学LSCにも声をかけたかったのだが、初回はそこまで手が回わらなかったというのが正直なところだ。

 しかし、今回は両クラブに声をかけることができ、大阪体育大学からは13人もの学生たちが参加してくれた。彼ら、彼女たちの参加で大会がさらに盛り上がったのは言うまでもない。

 また思いも寄らぬ収穫もあった。静岡からの参加だ。facebookに書いてあった「土・日何かおもしろいことないかな?」の書き込みに、実行委員の面々が反応したのだ。

 まるで荒らしのような書き込みにも関わらず、二つ返事で参加を表明してくれたのが用宗LSCの久保亮介君だった。遠路はるばる、2人の後輩とともに駆けつけてくれた彼らの出現で、関西圏のライフセーバーの交流をと考えていたものが、関西を通り越して、日本中のライフセーバーと交流できそうな、ワクワクした期待感に満ちたものとなった。
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 反省点は山ほどある。競技会運営を通して、いつも自分が選手として参加させてもらっている競技会の運営の大変さがよくわかる。当日の準備不足も否めない。

 大会が無事に終えることができたのは、選手も含め、参加した全員が協力して作り上げた大会だったからだと強く思う。

 今後の展望を聞かれると、「継続する」に尽きる。
 運動会はこのまま関西の底辺の競技会で良い。目指す姿は「運動会くらいなら出ようか」「予選に出場する前に、運動会で試してみるか」と思われる大会だ。
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 気軽に出て、競技会の面白さを肌で感じてくれるライフセーバーが、またライフセービングに興味を持ってくれる人が現れてくれれば、この大会は大成功だと言える。

 そこから新たにもっとガチな競技会を作り、さらなる発展も図れるだろうし、競技人口も増え、交流も深められれば、切磋琢磨する仲間も増えよう。時間はかかるかもしれないが、それこそが全体のレベルアップを図る方法だと思う。

 何年かかるかわからないが、続けていけば、少しずつでも必ず変わるはずだ。それは間違いないだろう、だってもう石を投げられることもないのだから。
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