Competitions

LSweb
日本新記録も飛び出した
第12回神奈川ライフセービング・プール大会
2014/11/08

The 12th Kanagawa Pool Lifesaving Championships

LSweb


第12回神奈川県ライフセービング・プール競技選手権大会



2014年11月2日、神奈川県相模原市のさがみはらグリーンプールにて、神奈川県ライフセービング連盟が主催する「第12回神奈川県ライフセービング・プール競技選手権大会」が開催された。

秋も深まる11月。競技会の舞台が海からプールへとシフトチェンジする最初の大会で、好記録が樹立された。


文・写真=LSweb編集室




31秒台に突入した50mマネキン

LSweb 神奈川県ライフセービング連盟(KLF)主催の競技会には、県下で活動するクラブを中心に、毎回、多くの参加者が集まる。

 今大会には千葉や茨城といった関東圏だけでなく、静岡や愛知などの中部圏で活動するクラブからの参加もあり、エントリー数は33クラブ、男女合わせて448人。出場者数が最も多い50mマネキンキャリーでは、女子15ヒート、男子28ヒートが実施された。

 秋にプールで行われる競技会として、すっかり定着したこの大会。
 近年はジュニア競技会も同時開催されていたが、参加者の増加、特にジュニア参加者の急増をふまえ、それぞれ独立した大会として行われることになった。

LSweb ジュニア大会と切り離されたことで、会場はよりシビアな雰囲気となり、好記録が連発。大会記録、さらには日本記録も更新される実り多い大会となった。

 競技開始早々、オリジナル種目の男子100m障害物スイムで大会記録を塗り替えたのが、東京消防庁LSC・平野修也だ。

 しかし、プールから上がってくると、
「いやぁ、大失敗のレースでした。50mのターンをした直後の障害に頭から突っ込んでしまって……。あと2秒は縮められたはずです」
 と、苦笑い。得意の短距離だけに、記録更新でも納得が行かない様子だった。

 その平野が31秒27の日本新をマークしたのが、男子50mマネキンキャリー。2位の湯河原LSC・安藤 秀も、0.27秒及ばずながら日本記録を更新する31秒台をたたき出した。平野、安藤ともに競泳で活躍した選手だが、6歳違いということもあり、これまでは同じ大会に出場したことはなかったとか。
LSwebLSweb
 平野は200m障害物スイムの日本記録保持者、安藤は100mレスキューメドレーの日本記録保持者。2人とも日本代表の強化指定選手で、その実力は折り紙付きだ。

 今回はタイム決勝で同組対決とはならなかったが、今後、ライフセービング競技を舞台に、2人のデッドヒートが見られそうである。

LSweb「自己ベストは更新しましたが、2人の壁はなかなか高いですね。全日本でも競うことになるでしょうから、少しでも近づけるように努力していきます」
 と話すのは、2人と一緒に表彰台に登った3位の波崎SLSC・葺本康隆。すでに半年後を見すえての発言だった。

 この種目に出場した選手で忘れてはいけないのが、新島LSC・田村浩志だ。「タムじい」の愛称で多くの後輩たちから慕われているベテランライフセーバーは、あくまでも現場主義を貫きゴーグルなしで出場。安定感のある泳ぎで、最後まで力強く、マネキンをキャリーしていた。

バタフライスタイルで日本新!

 今大会で記録されたもう一つの日本新が、男子100mマネキンキャリー・ウィズフィンの48秒63だ。湯河原LSC・西山 俊が出した。

 西山はこの種目、日本の公式競技会では(たぶん)初めてとなるバタフライスタイルで泳ぎ、自身が持つ記録を1秒以上更新した。

「9月に出場した世界大会で、バタフライ泳法の選手が優勝したのを見てから、練習を始めました。もともとドルフィンキックが得意ということもあり、競泳時代にはバタフライもやっていたので、すぐにフィットすることができ、やり始めた当初から(バタフライの方が)速いと感じていました」
 と西山。
LSwebLSweb
 今後は、バタフライスタイルが世界の主流になると感じているそうで、いろいろ改善してさらにタイムを上げていきたいと豊富を語った。

 新しい道具や理論、テクニックをいち早く取り入れて咀嚼できる、積極性と柔軟性を持っていることが、自己ベストを更新し続ける西山の強みといえるだろう。

LSweb 11月から西山のクラブメイトとなったのが、館山SLSCから移籍した青木 邦(旧姓:毛利)だ。

 コンペキャップの色が変わっても、もちろん彼女の実力は健在で、100mマネキンキャリー・ウィズフィンと50mマネキンキャリーで大会新記録を記録。青木の加盟でさらに選手層に厚みが増した湯河原LSCは、女子のリレー種目(2種目)を完全制覇した。

 女子4×100mメドレーリレーで2位と健闘したのが、井上裕梨、今野 恵、木ノ本百香、上倉海月という大学1年生2人、大学2年生2人でチームを組んだ鎌倉LGだ。

 競泳出身という彼女たち。ライフセービングを初めて間もないということもあり、「夏のガードは最後まで頼りなかったと思います」と眉をひそめていたが、得意のプールで本領を発揮し、自信を取り戻したのではないだろうか。
LSwebLSweb

県外から参加する目的

LSweb ところで、前述したとおり今大会には県外からも多数のライフセーバーたちが参加していた。

 その背景には、海での競技会シーズンが一段落した後、先陣を切って行われるプールの大会ということも関係しているのだろう。今年は12月にインカレのプール大会が開催されることから、
「来月のインカレに向けて参加しました」
 という学生ライフセーバーも多かった。

 また学生ライフセーバーの場合、日本ライフセービング協会(JLA)主催の大会には、学校クラブで出場ことが義務づけられている場合もあり、
「ガードメンバーで出られるが楽しい」
「社会人の先輩と一緒に出られるのが嬉しい」
 と、活動浜のクラブで参加できることを喜ぶ声も多く聞かれた。

 一方、社会人ライフセーバーは、
「参加できる大会が少ないので、活動を継続するモチベーションを維持するためにも、こういう機会は逃したくないですね」
 と話す。

 ライフセービングが盛んな神奈川県だからこそ、たくさんのクラブが参加する大会を開催でき、参加人数が多いからこそ、日本記録が更新されるようなハイレベルが維持できるわけで、それが、さらにライフセーバーを引きつける……という好循環を生んでいる神奈川の大会だった。
(敬称略)
LSwebLSweb

【第12回神奈川県ライフセービング・プール競技選手権大会 成績表】



LSweb

100m障害物スイム・男女

LSweb

100mマネキンキャリー・ウィズフィン・男女

 
LSweb

50mマネキンキャリー・男女

LSweb

4×25mマネキンリレー・男女

 
LSweb

4×50mメドレーリレー・男女

LSweb









Competitions 記事タイトル一覧

年別アーカイブ