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プール競技の季節、始まる
日本新も飛び出した、神奈川インドア
2015/11/03

第13回神奈川県ライフセービング プール競技選手権大会
2015.11.1 神奈川県相模原市・相模原市立水泳場

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2015年も残すところ2カ月となった11月1日——。

神奈川県相模原市のさがみはらグリーンプールにて
神奈川県ライフセービング連盟主催のプール競技会が開催された。

13回目を迎えた大会の様子をレポートしよう。

文・写真=LSweb編集室





海からプールへ移行の大会

LSweb 毎年、晩秋の時期に開催されるこの大会は、ライフセービング競技の舞台が海からプールへと変わる区切りの大会になっている。その競技会に今年は31クラブ、高校生から社会人まで355人が参加した。

 実施競技は個人種目3種目(50mマネキンキャリー、100mマネキンキャリー・ウィズフィン、100m障害物スイム)、団体種目2種目(4×25mマネキンリレー、4×50mメドレーリレー)の計5種目。

 神奈川大会らしいのは、障害物スイムを全日本などで採用されている200mではなく、100mで実施することだろう。

 運営体制や開催日数などの関係で半分の距離になっているが、国際ライフセービング連盟(ILS)監修の「競技規則」でも認められている距離であり、もちろん公式タイムとしても記録されている。

 その100m障害物スイムでは、男女ともに大会記録が更新された。女子は社会人になっても自己ベストを更新し続ける、銚子LCの栗真千里が1分03秒66で優勝。海なし県の長野出身で、今年、大学生になったばかりの九十九里LSC、成澤侑花が1分04秒63で2位に入り、2人とも大会新をマークした。
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 男子は辻堂LCの平野修也が55秒45で優勝。湯河原LSCの安藤 秀が56秒07で2位。こちらも2人とも大会記録を更新した。
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 またライフセービング競技ではニューフェースながら、56秒40の好タイムで3位に入ったのが辻堂LCの富永航平だ。

「競泳で短距離の平泳ぎを得意としていましたが、辻堂LC代表のモグケン(中川 健)さんの熱烈な勧誘があり、ライフセービングの世界へ足を踏み入れました。
 ライフセービング競技は障害物があったり、マネキンやチューブを使うので、これからまだまだ研究の余地があると思います」と話す富永は、日本代表のチームメイト、平野と共にリレー種目でも活躍した。
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選手数増加中のフィン種目

LSweb 近年、プール競技ではフィン種目が“人気”だ。今大会も例外ではなく、100mマネキンキャリー・ウィズフィンは女子7ヒート、男子12ヒートで熱戦が繰り広げられた。

 勝ったのは男女ともに湯河原LSC。

 女子は1分02秒72で船津美帆が、男子は51秒17で西山 俊が優勝した。自己ベストを更新した船津は、2位に3秒近い差をつけて初タイトルを手に。昨年に続き日本記録更新の期待がかかった西山は、記録的には平凡なタイムだった。
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 2週間後に控えた国際大会への調整期間中で、ベストなコンディションではなかったと言う西山。

 「最低でも50秒は切れると思っていたのですが……」と首を傾げた後、「あー、海に行って気分転換したいなぁ。でもちゃんと現実を見て、プールで練習します」と続けた。

 ところで、フィン種目の人気が高まっている要因の一つは、泳ぎがあまり得意でない選手ほど、フィンの力を借りると速く泳げるようになる(ことが多い)、ということに関係しているようだ。
 泳ぎは苦手だから……と諦めるのではなく、何かできることはないか? という考え方は、非常にライフセービングらしいとも言える。
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 リレー種目に出場するチームが増加傾向なのも、フィンスイムに力を入れているクラブが多いことと無関係ではないはず。フィン練習がきっかけとなり、泳力そのものが向上すればまさに一石二鳥ではないだろうか。

マネキンキャリー優勝者には賞品も

LSweb 今大会で最も参加人数が多かった種目が、50mマネキンキャリーだ。女子12ヒート、男子21ヒートが行われた。

 毎度のことながら、ヒート毎にマネキンをセットするマネキン係、50mプールを往復しながら泳法をチェックする泳法審判員をはじめとするオフィシャルの皆さんには頭が下がる。

 この種目を制したのは、白浜LSCの坂本佳凪子と辻堂LCの平野修也。大学3年生の坂本のタイムは38秒44。ライフセービングとフィンスイムの日本代表であり、マスター水泳でも活躍する平野は31秒40だった。
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「年明けに左肩を痛めてから人生初というくらい不調続きでしたが、ここにきてようやくスランプを脱出しつつあるのかなという感じです」と言う平野。

 この大会から遡ること8日間で4大会に出場し、今大会終了後も国際大会が続くというハードスケジュールを振り返り、「明日はきっちり体をケアして次の大会に備えます。オレンジカップとジャーマンカップ(オランダとドイツで開催されるライフセービングの国際大会)では記録を狙いますよ」と笑顔を見せた。

 なお、同種目の優勝者2人にはメダルの他に協賛の(株)櫻井興業から、スタイリッシュなガード特製時計の賞品も贈られた。

「僕、この種目の優勝者には賞品が出ることを知っていたんです。だから、最後のタッチはおもいっきり腕を伸ばしましたよ」とライバルたちと談笑する平野。

 坂本も「はい、賞品が出ることは知っていました」と、「いいなぁ〜」と歓声を上げるチームメイトの和の中で笑顔を見せていた。
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リレー種目は湯河原が完全制覇!

 男女ともに大会記録が更新されたのが、4×25mマネキンリレーだ。
 女子は河崎綾子、塩原あかり、中島静香、相馬紗織の4人がマネキンを運んだ湯河原LSCが1分33秒48の大会新で優勝。
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 男子は大島圭介、徳元将太郎、西山 俊、安藤 秀と繋いだ湯河原LSCが1分13秒53で1位、江藤亜門、荒生拓人、大野祥吾、那須凛斗の大学生カルテットが力泳した九十九里LSCが1分15秒73で2位となり、両チームとも大会記録を更新した。
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 最終種目の4×50mメドレーリレーも記録ラッシュ。女子は1位と2位が大会新を、男子は1位が日本新をマークした。

 女子優勝は1分52秒73を出した湯河原LSC。河崎綾子、塩原あかり、中島静香、船津美帆がテンポ良く繋いで終始リードを保ったまま快勝。銚子LCは津川茉由子、小林夏実、栗真千里、深谷徳香で逆転を狙ったが、僅かにおよばず1分53秒70で2位だった。
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 デッドヒートが繰り広げられた男子は、大島圭介、西山 俊、安藤 秀、深井俊光の4人が後続の猛追を逃げ切り優勝。1分32秒62の日本記録を打ち立てた。
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 2位は4泳が驚異的な追い上げを見せた九十九里LSC。大野祥吾、江藤亜門、池端拓海、宇治川仁人の4人で1分35秒64のタイムをマークした。逆転はされたもののリレー種目で初めてメダルを獲得したのが、富永航平、深谷裕輔、平野修也、中川 健でチームを組んだ辻堂LC。タイムは1分36秒15だった。LSweb

 九十九里の4泳、宇治川は「3泳と4泳の引き継ぎが、昨日の練習の最後の最後で、急にできるようになったんです」と言う。3泳の池端は大学1年生、4泳の宇治川は4年生。

 プール競技デビューの池端は、道具を使ってのライフセービング競技に悪戦苦闘していたようだが、コツを飲み込めば上達も早い。2位という成績が大きな自信に繋がったようで、「プールインカレでは日大で優勝しますから、見ててください!」と、笑顔を見せた。

 2週間後にプールインカレを控えた学生ライフセーバーたちは、リレーメンバーの選考や調整も兼ねて今大会に参加している。日本記録が更新されるハイレベルな実戦を体験できたことは、インカレにも活きてくるはずだ。

 「(辻堂LCの)平野さんがものすごい勢いで追いついてきたので、焦って右手でタッチしちゃいました。右肩にレスキューチューブを掛けているので、普通なら左手でタッチして4泳に(チューブのヒモを)渡すのですが、手が反対でなかなか渡せなくて。いやぁ、危なかったです」と話すのは、湯河原LSCで3泳を任された安藤だ。
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 日本新で盛り上がる湯河原LSCのメンバーに近づき、「この記録はすぐに塗り替えるから」と言ったのが辻堂LCの平野だ。辻堂LCの平野、湯河原LSCの安藤、大島、西山の4人は、10日後には日本代表として国際大会に出場することが決まっている。今大会ではライバルでも、次はチームメイトだ。

「そうか!」と状況を把握した深井も交え、プールサイドでは両チームが笑顔で互いの健闘を称え合っていた。

 閉会式で総評を述べた泉田昌美競技委員長の言葉のとおり、ライフセーバーにとって、冬場は泳力を鍛える絶好の時期。今大会の記録が参考に、来たるべき来シーズンに向けじっくり泳ぎこんでみるのもいいだろう。(敬称略)
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100m障害物スイム 男女

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100mマネキンキャリー・ウィズフィン 男女

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50mマネキンキャリー 男女

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4×25mマネキンリレー 男女

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4×50mメドレーリレー 男女

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【第13回神奈川県ライフセービング プール競技選手権大会 成績表】



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