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燃えよ!学生ライフセーバーたち
第31回全日本学生ライフセービング選手権大会 Vol.1
2016/09/28

The 31st Inter College Lifesaving Championships 2016.9.24-25 千葉県夷隅郡御宿町・御宿中央海岸

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9月——といえば“インカレ”である。

学生ライフセーバーにとっての一大イベントだ。

千葉県の御宿中央海岸で開催された、
第31回全日本学生ライフセービング選手権大会。

その激闘の模様を前後編でお届けしよう。



文・写真=LSweb編集室





実力伯仲のサーフ競技

LSweb 台風による大きな被害が出た今年の日本列島。インカレ会場のある千葉県の外房地域も、8月に2つの台風が直撃し、海水浴期間を縮小せざるをえない甚大な被害に見舞われた。

 インカレ直前にも、台風から変わった熱帯低気圧が沖合いを通過したのだが、御宿町などが流木撤去などの海岸整備をしてくれたため、無事、開催にこぎ着けた。

 そして迎えた当日は、インカレでは珍しく(?)穏やかなコンディションとなった。しかし、度重なる台風の通過で波打ち際の海底は荒れた状態のまま。今大会のサーフ競技では、インに苦戦した選手が多かったようだ。

 雨が降ったり止んだりのコンディションとなった大会初日に行われた決勝種目は、男女サーフレースとオーシャンマン&オーシャンウーマンリレーの2つ。

 金メダル第1号となったのは、女子サーフレース優勝の日本大学・成澤侑花だ。泳力に定評のある大学2年生が得意種目で好調なスタートを切った。
 男子は世界大会帰りの慶應義塾大学・上野凌が実力を発揮。クラブ創設3年目で初めての金メダルをクラブにもたらした。
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 スキー→スイム→ボード→ランの競技順となったオーシャンマン&オーシャンウーマンリレー。

 女子は栗原夏希→成澤侑花→柿澤明日香→甲斐夏美と繋げた日大がスイムでリードを広げ、日本体育大学、日本女子体育大学、東海大学湘南校舎クレストなどの強豪校をおさえてトップフィニッシュ。ピンクのコンペキャップが弾んだ。
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 男子は国士舘大学、東海大クレスト、法政大学の3校がメダルの色をかけて接戦を繰り広げた。

 まず、最後のインカレにかける国士大・牛越智がスキーでリードするが、すかさず東海大クレスト・中谷理人がスイムで逆転。
 続くボードで国士大・塚本佳樹が上手く波をつかみ先行する東海大クレストに追いつくと、アンカーの黒田晃暢が力強い走りでフィニッシュラインを駆け抜けた。
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 「頼もしい後輩が後ろに控えていたので、僕はトップで戻ってくることだけを考えて漕ぎました」と牛越。

 「トップで繋げられなかったけど、一生懸命泳ぎました」とスイムの篠原優太。「波の乗ることができたのが大きかったです」と塚本。そして黒田は「(クレストよりも)内側で戻ってきてくれたので安心して走れました」と言葉を繋げた。

 僅差で優勝を逃した東海大クレストの中谷は、「皆は波が来なくてアンラッキーだったと言ってくれましたが、国士大はランのタッチを僕たちよりも内側でしていましたよね。状況を判断できる実力とテクニックがあって一枚上手だったと思います」と言った後、「明日のボードリレーは負けません」とリベンジを誓っていた。

ビーチ競技の栄冠は誰の手に?

LSweb 雨も上がり夏のような蒸し暑さとなった大会2日目。

 この日最初に行われたのが、注目のビーチフラッグス決勝だ。

前日の予選、二次予選を勝ち抜いたファイナリストは男子8人、女子9人。気合いの入った表情の選手たちがスタートラインに並ぶと、エリアを取り囲む観戦者たちから大きな歓声が上がった。

 女子からスタートした決勝だが、負傷者の出た男子が先行する形でベストスリーの戦いに。

 ここで最初にダウンしたのが杏林大学・佐賀野敏樹だ。佐賀野の思いを背負った杏林大の北田尚輝が次にダウンし、ラスト1本は順天堂大学・石田蒼一郎と、国大武道大学・堀江星冴の一騎打ちとなった。LSweb

 強かったのは堀江で、インカレ三連覇を達成した。落ち着いた表情で淡々とレースをこなし、最後まで危なげなくフラッグを手にしているように見えたが、本人には相当のプレッシャーがあったようだ。

 レース後、「三連覇をしたいという気持ちが強く、それがプレッシャーにもなっていました。6月の種目別では最後に気持ちの弱いところが出てしまい、勝てなかったことも頭の隅にありました。決勝レースでは弱気にならないよう、誰よりも練習してきたという自信があるのでそのことを思い出し、1本、1本、大丈夫だと自分に言い聞かせてやっていました。勝てて良かったです」と、ホッとした笑顔を見せた。

 実力伯仲の女子は波乱の幕切れに。ベストスリーで日本女子体育大学・高橋わかながダウンすると、最後に残ったのは日本体育大学の石塚円香、村石結美の2人。LSweb

 ところがなんと、4年間ともにがんばってきたが同級生対決は、フライングによりあっけなく決着がついてしまった。優勝は石塚だが、スタートライン上で互いに「ごめん」と謝り続け、2人はしばらくその場を離れることができなかった。

 溜息とともに観客が去った競技エリアで、2人の気持ちを汲み「よし、今から決着をつけるぞ」と声を掛けたのが、日体大の猪爪賢治コーチだ。泉田昌美審判長も快くエリアの使用を認めてくれた。

 ヘッズダウン……。“裏”ビーチフラッグスの決着は、村石に軍配が上がった。
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 抱き合って喜ぶ2人は、「ずっと2人で練習していて、インカレでワンツーフィニッシュを取ることが昨年からの目標でした。2人でワンツーに残ることができて、最高の結果でした」と砂まみれの顔をほころばせた。

 足場の悪い砂浜を90m走るビーチスプリント決勝には、走力自慢の学生ライフセーバー男女各10人が顔を揃えた。

LSweb 最初にスタートした女子は、日体大・長野文音が断トツのリードでゴールラインを走り抜けた。2位以下は混戦となったが、大阪体育大学・柴田夏希が2位、東京女子体育大学・鮒藻美穂が3位に滑り込んだ。

 見事にインカレ三連覇を飾った長野。ベストタイムは11秒台で、男子と練習すると引っ張れられて速くなり、たまに男子を抜かすこともあるという俊足ぶりをいかんなく見せつけてくれた。

 男子はビデオ判定にもつれる僅差の勝負となった。激戦を制したのは日体大・七海元紀。2位には同じく日体大・玉井颯が入った。10コースを走った昨年の覇者、成城大学・荒井滉太郞は3位。

 「僕は8コース、先輩の七海さんが6コース、同じ3年で昨年優勝した成城の荒井くんが10コースでした。七海さんとはワンツーフィニッシュしようと話していて、そのとおりになったので嬉しいです。
 実は虎視眈々と狙っていました。全日本もあるので、また狙っていきたいです」と自信を覗かせる玉井。
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 「昨年、成城の荒井くんに負けていたので、彼をライバルと思って練習してきました。ほぼ同着だったので、順位が確定するまではドキドキしましたね」と七海。
 主将としてチームを引っ張り、競技で金メダルの活躍に、チームメイトが歓声を上げた。

 ところで、今大会でもインカレ恒例オリジナルグッズが販売された。Tシャツ2選にバスタオル、キーホルダーはそれぞれ学生ライフセーバーのデザインによるもので、どれも力作揃い。デザインコンペティションを勝ち抜いた学生ライフセーバーを写真で紹介しておこう。

 熱戦の続きはVol.2に続きます。(文中敬称略)


【第31回全日本学生ライフセービング選手権大会 成績表】



☆★☆ 「第31回全日本学生ライフセービング選手権大会」 表彰台 ☆★☆

サーフレース・男女

サーフレース・男女

オーシャンマン/オーシャンウーマンリレー

オーシャンマン/オーシャンウーマンリレー

ビーチフラッグス・男女

ビーチフラッグス・男女

ビーチスプリント・男女

ビーチスプリント・男女

Tシャツ・デザイナー

Tシャツ・デザイナー

ビーチタオル・デザイナー

ビーチタオル・デザイナー

インカレキーホルダー・デザイナー

インカレキーホルダー・デザイナー










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