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辻堂の海にライフセーバーが集結!
第19回神奈川県LS選手権&第5回神奈川県ジュニア/ユースLS競技会
2017/05/19

第19回神奈川県ライフセービング競技選手権大会・第5回神奈川県ジュニア/ユース ライフセービング競技会
2017.4.29 神奈川県藤沢市・辻堂海岸

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サーフゲレンデとして人気がある神奈川県藤沢市の辻堂海岸。

西を見れば江ノ島、東には烏帽子岩という“これぞ湘南”のローケーションで、神奈川県ライフセービング連盟が主催するサーフ競技会が開催された。

爽やかに晴れ渡った4月29日(昭和の日)。昭和世代の社会人から、平成生まれの学生、ジュニアまでが、今年最初のサーフ競技会を満喫した。


文・写真=LSweb編集室




ホストクラブは辻堂ライフセービングクラブ

 県内クラブが持ち回りでホストを務める「神奈川県ライフセービング競技選手権大会」。

LSweb 19回目を迎えた今大会および5回目となる「ジュニア/ユース ライフセービング競技会」が、サーフスポットとして人気の辻堂海岸で開催された。ホストクラブは同海岸を拠点に活動する辻堂ライフセービングクラブだ。

 「準備が本格化したのは約2カ月前です」と話すのは辻堂LC代表の中川健さん。

 「これまでは選手としてしか参加したことがなかったので、正直、戸惑うことや分からないことも多かったですが、近隣クラブの皆さん、特に安全課の皆さんが的確に大会運営のキーポイントをアドバイスしてくれたので、なんとか無事、今日の日を迎えることができました。
LSweb 競技運営にはクラブの若手も率先して加わってくれ、安全課の親方たちにいろいろ教えを乞うているようです。学生メンバーの西田と加藤は、1カ月弱でPWCの免許を取得するなど、積極的で頼もしいですよ。
 ジュニア/ユース競技会と同日開催されるのも、神奈川ならでは。大人はジュニアやユースのがんばりに刺激をもらい、子どもたちは一般の大会を見てすごいと思ってくれ、憧れてくれるようです。確かに、競技数が多く進行は大変ですが、世代を超えて集まる相乗効果は大いにあると感じています。景品も豪華ですしね」と笑顔で言葉を続けた。

 この日の早朝、ベテラン安全課メンバーと共に、初めてPWCでブイ打ちをしたという西田晋二さんと加藤諒さんは「うまくできました!」と明るく一言。これも安全課親方衆の指導の賜物だろう。

 「クラブにはPWCがありません。でもせっかく免許を取ったので、これからも競技運営などで役に立てるようになればいいなと思います」と新たな目標を口にした。
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コンペキャップに二宮LSCのスピリットを込めて

LSweb 小学生から社会人まで選手として397人が参加したこの大会。選手宣誓はバディ冒険団の遠藤海七希選手と新井海翔選手(ジュニア/ユース)、二宮LSCの堀部雄大選手(一般)が行った。

 堀部選手は今回、特別な思いで選手宣誓に臨んだ。

 ちょうど10年前、2007年に辻堂海岸で行われた大会で、ボードレースとサーフスキーレースの二冠に輝いた堀部選手。
 ところがその年の9月、小田原付近に上陸した台風の影響で、二宮LSCがパトロール拠点としていた袖ケ浦海岸は砂浜が消失するという甚大な被害を被り、以来、同クラブは地元での活動ができない状況が続いている。

LSweb 「実はその後、数年して砂は戻ってきたのですが、砂浜が消失している間に海水浴場としての認可が取り消されてしまい、現在もそのままです。
 クラブは存続していますが、活動拠点がないため新しいメンバーを勧誘することもできません。神奈川の大会でコンペキャップをかぶることぐらいしか、今はできないのです」と堀部選手。

 自然を舞台に、行政や地域の人々と密接に関わり合うライフセービング活動では、自分たちの力が及ばないこともあるだろう。それでも、クラブに愛着を持ち、浜を大切に思う気持ちが活動の存続、拡大に結びついているのだ。
 二宮LSCで育ったライフセーバーは多い。近い将来、地元で活動できる日がくればいいが……。

走って泳いで、全力を出し切ったランスイムラン

LSweb 10年ぶりに辻堂海岸に戻ってきた大会は、午後になって南風が吹き上がり海上コンディションが悪化。残念ながらジュニア/ユースの1競技をのぞき、すべてオーシャン競技が中止となってしまった。

 唯一行われたオーシャン競技が、小中学生のランスイムランだ。

 気温も水温も低めだったが、選手たちはスタートと同時に勢いよく砂浜をかけだし、躊躇することなく冷たい水に飛び込み、スイムブイを必死で回って最後のランへ。諦めることなく全力を出し切る姿に、大歓声が上がる。そしてその歓声に、ボードを抱えたサーファーや、ビーチを散策する人が惹きつけられ、歓声の輪が広がっていった。
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 男女混合で行われた小学3・4年生の部では、小学4年生の三宅悠一朗選手(西浜SLSC)が優勝。
 小学生5・6年生の部では、男子は小学6年生の志賀海空選手(西浜SLSC)、女子は小学6年生の久保田純令選手(湘南ひらつかLSC)がそれぞれトップでゴールラインを横切った。

 距離が伸びた中学生の部。男子は中学3年生の志賀海征選手(西浜SLSC)、女子は中学3年生の大熊美咲選手(西浜SLSC)が、後続選手を振り切り優勝した。
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ラスト1本を目指し、白熱のビーチフラッグス

LSweb ジュニアもユースも一般も、いつもにも増して白熱した熱戦が繰り広げられたのがビーチフラッグスだ。まるで、中止になったオーシャン競技のエネルギーが注入されたかのようだった。

 まずは男女混交で行われた小学1・2年生の部。

 真剣かつ無邪気にがんばる姿が実に愛らしい選手たちだが、この年代は全般的に男の子よりも女の子のほうが体格や体力で勝ることが多い。今大会でも入賞した8選手のうち、上位5選手は全員女子という結果となった。
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 優勝したのは、小学2年生の杉山冬華選手(TKS)。予選から俊敏な動きを見せていた小学2年生の鶴野いろ選手(バディ冒険団)は、緊張したのか最後のスタートでよろけて惜しくも2位。小学2年生の板垣来奈美選手(TKS)も3位と健闘した。

 同じく男女混合で行われた小学3・4年生の部。たった2年で男の子はどんどんパワーアップし、男子が上位を独占するまでに。
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 優勝は小学3年生の高野旭選手(西浜SLSC)、小学4年生の金高右京選手(館山SLSC)が2位、小学4年生の小鮒聖斗選手(西浜SLSC)が3位という結果だった。女子でただ一人入賞したのが、小学3年生の高田理世選手(西浜SLSC)。5位に入るガッツを見せた。

 小学5・6年生の部からは男女別に競技が行われ、男子は小学6年生の菅原明澄選手(西浜SLSC)が、同学年のチームメイト、布方勇海選手(西浜SLSC)を破り優勝。3位には、小学5年生の中村蓮斗選手(鎌倉LG)が入った。
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 女子は表彰台に上った3人が全員、小学5年生という顔ぶれ。1位の高野紗世選手(西浜SLSC)、2位の高梨帆南選手(勝浦LSC)、3位の名取暦詩心選手(鎌倉LG)の3選手が笑顔で表彰台に上った。

 ライバル対決で大きな歓声が上がったのが中学生の部だ。
 
 女子の決勝は昨年と同じ、江田望実選手(下田LSC)と高田純良選手(西浜SLSC)の中学3年生対決に。全国大会などでも対戦している2人は、お互いに意識しながら序盤戦を順調に勝ち上がった。ラスト1本。最後まで安定していたのは江田選手で、昨年に続き優勝を手にした。
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 ほっとした表情を見せた江田選手と、一瞬うつむいた高田選手は、すぐに握手をし、はにかんだ笑顔を見せた。2人のライバル対決は、これからも続くのだろう。これからどんな名勝負が見られるのか、楽しみだ。

LSweb 男子は中学2年生対決となった。

 遠藤海七希選手(バディ冒険団)とクレイコナ大波選手(西浜SLSC)は共に中学2年生。子ども時代から同じ浜で活動する、顔見知りの間柄だ。クレイ選手は兄の背中を追って、遠藤選手は弟の面倒を見ながらという境遇の違いはあるものの、どちらも目指すは頂点だ。

 そして迎えた決勝戦。ほぼ同時のタイミングで飛び込んだ2人だが、最後のフラッグは遠藤選手の手に収まっていた。

 「僕のほうがリーチが長いから」という遠藤選手。確かに中学生の中でもひときわ長身の彼だが、大会に向けて20mダッシュを何本も繰り返すなど、地道にトレーニングを続けたのだそうだ。こちらのライバル対決も、これから先、何度となく接戦を繰り広げるのだろう。

大会運営の裏方、審判功労賞に吉田健博さん

LSweb 大会最後は、一般のビーチフラッグスで締めくくられた。

 女子は石塚円香選手(鴨川LSC)が、若林明穂選手(西伊豆・松崎LSC)を押さえて優勝。男子は野口勝成選手(式根島LSC)が小田切伸矢選手(西浜SLSC)を破って、表彰台の頂点に立った。

 今年から大学院に進み、コーチング学を学んでいるという石塚選手。
 「社会人1年目の同期よりは、多少は時間の余裕があると思います。でもそれに甘えず、しっかり練習していきたいです」ときっぱり。コーチング学で学んだことを自ら実践する、そんなレスキューアスリートの活躍に注目しよう。
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 3位に入った小室亜希選手(湘南ひらつかLSC)は決勝ヒートの最年長。「20歳年下の高校生と同じ土俵で戦えたことは、とても楽しかったです」と満面の笑みを見せた。彼女自身、高校生の時にライフセービングと出会った。それから20年、続けているご褒美が銅メダルになったようだ。

 肉弾戦となったのは男子だ。

LSweb ベストスリーは野口選手、小田切選手、そして北田尚樹選手(三浦海岸SLSC)。まず北田選手がダウンすると、観戦者が水を打ったように静まり返った。

 2選手からビリビリとした気迫が漂ってくる。そしてホイッスルが鳴り、数秒。フラッグを掴んで雄叫びを上げたのは、野口選手だった。心底悔しそうな小田切選手。緊張が解けた観客から、声にならないため息がもれた。

 今年の全豪選手権でビーチフラッグス6位に入賞した実績を持つ野口選手。

 「何度も挑戦して、初めて入賞できました。スポーツを通してライフセービングを広めていきたい、というのが今の僕の目標です。今年は、種目別、全日本でも優勝を目指します」と力強く話した。LSweb

 表彰式がすべて終わった後、KLF主催の大会では恒例の審判功労賞の発表が行われ、エントリーやリザルトシステムなどを構築した吉田健博さんに感謝状とメダルが贈られた。
 
 縁の下の力持ちがいるからこそ、競技会が行われ、勝ったり負けたり、嬉しかったり悔しかったりと楽しむことができるのだ。大会運営に尽力した、審判員、スタッフ、安全課の皆さん、お疲れさまでした。




【第19回神奈川県ライフセービング競技選手権大会・第5回神奈川県ジュニア/ユース ライフセービング競技会 成績表】



☆★☆ 第19回神奈川県ライフセービング競技選手権大会・第5回神奈川県ジュニア/ユース ライフセービング競技会 表彰台 ☆★☆

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ランスイムラン小学3-4年生・男女混合

ランスイムラン小学5-6年生・男女

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ランスイムラン中学生・男女

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ビーチフラッグス小学1-2年生/3-4年生・男女混合

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ビーチフラッグス小学5-6年生・男女

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ビーチフラッグス中学生・男女

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ビーチフラッグス一般の部・男女








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