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第38回全日本ライフセービング選手権大会 競技会レポート Vol.22012/10/12

2012.10.6-7 神奈川県・片瀬西浜海岸

古豪復活、湯河原LSC!
御年80歳のソーリーさんに献げる総合優勝


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特別な思いを胸に秘め、決戦の舞台に集合した選手たち。
だが、勝負の世界で満足のいく結果を出すことができるのは、
一握りの選手たちだけだ。

敗者がいるから、勝者がいる。

今年の全日本でも、数々の名勝負が繰り広げられた。
その勝負の裏には、練習を共にしたものや、
一緒に戦ったものたちが共有する、深い思いがあったはずだ。


※大会終了後、ビーチフラッグス競技において集計ミスが発覚し、総合順位が入れ替わりました。JLAにより修正順位の発表が行われたのは10月15日。本稿は修正前の情報を元に10月12日にアップしたものであるため、一部、古い情報をベースとした記述があることをご了承ください。なお、成績表の総合順位は修正済みです。また集計ミスに関する記事は10月16日付けでアップしていますので、そちらもご参照ください。 総合成績の変更について

文・写真=LSweb編集室





砂上のチャンプ、海の覇者
個人種目は下克上の戦国時代


 大会初日、ビーチスプリントの予選を終え、決勝への進出を決めた神戸友美(西浜SLSC)が、困ったような表情で口を開いた。
「西浜の砂って、こんなに表面がサラサラしていたかなって、ちょっと焦っているのです。砂を上手くとらえることができない。決勝までになんとか修正しないと、これはまずいです……」
 
 午後から雨、という天気予報が見事に外れたこの日。昼過ぎからまぶしい太陽が照りつけ、残暑がぶり返したかのように、気温もぐんぐん上昇した。そんなコンディションで行われたビーチスプリントの決勝は、男女ともに学生陣と社会人が真正面から対決する、見応えのあるレースとなった。
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 男子は日本体育大学と中京大学の学生陣が表彰台を独占。優勝した石井雄大(白浜LSC)は、インカレ3位の雪辱を全日本で晴らした。インカレと同じく僅差の接戦に敗れ2位だったのは、中京大学の岡田浩平(愛知LSC)。3位には日体大の岩井寛文(鴨川LSC)が入った。
 一方女子は、社会人2人が表彰台に上がった。優勝は2008年以来、4年ぶりに復活した池谷雅美(柏崎LSC)。2位は学生チャンピオンの日体大、山田未来(鴨川LSC)。3位には「これはまずい」と話していた神戸が入った。

 「スタート後、前傾姿勢が保てたのが良かったです。体が起き上がっていたら、表彰台に登ることはできなかったと思います」
 と、ほっとした表情で一言。
 これまで共に練習してきた頼れる大先輩、池谷(旧姓:遊佐)は今大会から別チームに移籍しライバル関係に。地元で開始された全日本で、神戸は表彰台の一角を死守した。

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 初日とうって変わり、肌寒い天気となった大会2日目。朝一番に行われたのが男女の2kmビーチラン決勝だ。ハイスピードな展開となった男子のレースで、3年ぶりに優勝したのは浅見泰希(東京消防庁LSC)。現在、東京の麹町管区ではしご車に乗っているという浅見は、学生時代と遜色のない軽快な走りでゴールを切った。
 
 ゴール直前で3位の新堀進吾(土肥LSC)を振り切り、2位と大健闘したのが高校生の河上尚輝(昭和第一学園高校LSC)だ。海が好きでライフセービング部に入ったという河上は、ヒーローインタビューで、
「つらいことも、楽しいこともありますけど、これだけは言えます。ライフセービング部に入って、後悔はしていないと」LSweb 
 と高校生とは思えない、しっかりした口調で返答していた。

 一方、女子は鈴木さゆり(下田LSC)、河本桂奈(下田LSC)の下田勢がワンツーフィニッシュ。3位は佐々木聡美(西浜SLSC)が入った。河本はこれで4年連続の2位。
「悔しいけれど……、クラブの後輩が勝ってくれたので嬉しいです」
 と、複雑な心境を口にした。

LSweb 女子のサーフレースで、全日本初優勝を遂げたのが三井結里花(九十九里LSC)だ。2位は高校生の坂本佳凪子(西浜SLSC)、3位はベテラン毛利 邦(館山SLSC)。3人は11月にオーストラリアで開催される、世界大会の日本代表メンバーでもある。順調な仕上がり具合に、世界大会での活躍が期待される。

 一方、男子のサーフレースでは、ロンドンオリンピック帰りの平井康翔(湯河原LSC)が昨年に続き優勝した。オリンピックの舞台で15位(オープンウォータースイム10km)の成績を残した平井だが、長距離が得意な彼にとって、サーフレース(約500m)は微妙な距離。しかも今年の西浜は遠浅のコンディションだ。イン、アウトでほかの選手が飛ばすと、苦しい展開となる。
 実際、予選レースでは後続との差はあまりなかった。しかし、決勝レースでは2位以下をきっちり引き離して勝利。オリンピアンの実力を見せつけた。LSweb

 「自分の競技人生でも、全国大会での連覇は初めてです。だからすごく嬉しい。今までは時間がありませんでしたが、来年からはライフセービングに本格参入し、ライフセービング界に良いボム(爆弾)を落とすことができればと思っています」
 と言う平井。
 そして、ライフセービング競技をやるからには、オーシャンマンのタイトルも獲りたいと宣言した。ライフセービング界にも旋風を巻き起こすか、注目である。

 今年の全日本、オーシャン競技で最もスリリングな優勝争いをしたのが、男子ボードレースだ。実はこのレース、スタートから最終ブイを回るまでは、日本代表チームのキャプテンを務める長竹康介(西浜SLSC)と、全日本の舞台に帰ってきたボードの申し子、青木将展(湯河原LSC)の一騎打ちだった。しかし、先頭を行く2人がブイを間違え、大きく膨らんだコースを引いたため、後続艇が波に乗ってみるみる接近。10人ほどが固まって、波打ち際からのラン勝負に挑んだ。
 
 ここで抜け出たのが地元で活動する小林 海(西浜SLSC)。青木を振り切り、全日本2連覇を達成した。高校3年生だった1年前は大粒の涙を流し、ヒーローインタビューにならなかった彼だが、今年は、
「スタートで失敗してしまったのですが、上手く波に乗れて良かったです。ブイを回ってからは、しっかりゴールだけを見ていました。ラン勝負になると分かったので、ボードから下りるタイミングを見計らっていました。うまくできたと思います」
 と、しっかりした口調でレース展開を振り返るまでに成長していた。
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 惜しい勝利を逃した青木は、
「昨年は全日本に出場していないのです。カムバックでちょっと舞い上がっちゃって、コースを間違えてしまいました。戦友の康介くんとは、レース中にボードを漕ぎながら『良いレースができたね』と話していたのですが・・・。康介くん、すいません」
 と、頭をかいた。
 長竹は後続集団にブロックされる形で前に出られず、6位。大学生の坂本 類(波崎SLSC)が青木に続いた。

 女子のボードレースはサーフスキーに続き、篠 郁蘭(新島LSC)が勝利した。
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 「今日は(波がなく)パドル勝負になると分かっていたので、コース取りでミスをしないように気をつけました。クラブは違いますが、西浜の勝俣(閑)や、高校生の(上野)真凜、新島LSCの後輩たちと一緒に練習して、皆で気持ちを高めました。ブイを回ってからは、後ろから小な波がきているのが分かっていたので、それを絶対にとらえて、あとはランを頑張ろうと。遠浅だったので、早めにボードから下りたのが良かったですね」
 にこやかな笑顔で、3年ぶりの優勝を振り返った篠。切磋琢磨した勝俣 閑(西浜SLSC)は2位、3位にはインカレで日体大の優勝に貢献した、宮田沙依(飯岡LSC)が入った。

 ボードレースでは思わぬ苦戦を強いられた長竹だが、オーシャンマンレースでは実力をいかんなく発揮し、貫禄の1位。レース後、展開を振り返ってもらうと、こんなコメントが返ってきた。

 「スキーで良いスタートが切れたのが勝因の一つです。スイムは(西山)俊が速いので、追いつかれるなと思ったのですが、うまくついていくことができました。最後は僕が得意なボードなのでそこでかわして、と思い通りのレース展開ができましたね。オーシャンマンの優勝は、また格別です」
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 昨年、愛娘が誕生した長竹。娘を抱っこして表彰台に立つのは、一番高いところだけと決めているそうだ。レースを終えたチャンピオンは「また一緒に表彰台に上がることができます」と目尻を下げた。

 見応えのあるオーシャンウーマンレースを制したのは、三井結里花(九十九里LSC)。インカレとの二冠を達成した。

「とにかくスキーがポイントでした。ここで離されたら、どんなにスイムが得意でも追いつけないので、とにかくスキーを猛練習しました。スキーで粘れれば勝算があると思っていました。たくさんの先輩方に教えていただき、一生懸命練習したスキーの成果が出て嬉しい。先輩方に感謝です」
 と話す三井は、今夏、練習中にクラフトが当たり、右太ももに筋断絶を負った。「今でもまだ少し、凹んでいます」と言うが、ケガもほぼ完治し、伸び盛りのヤングパワーが爆発した。
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 三井とは反対にスイムが苦手というのが、名須川沙綾(茅ヶ崎SLSC)だ。スキーは首位だったが、スイムでは三井に逆転されてしまった。しかし名須川はここで踏ん張った。後続には川崎綾子(湯河原LSC)、毛利 邦(館山SLSC)、佐伯芽維(白浜LSC)、植松知奈津(湯河原LSC)などスイムに自信を持つ選手がたくさんいたが、彼女たちに抜かれることなくボードへ繋ぎ2位を守った。
 
 3位は、2年ほど競技から遠ざかっていた三木玲奈(湯河原LSC)。順位札を手渡され、「あー悔しい! ソーリーに1位をあげたかったのに」と一言。
「今年は夏にしっかり練習ができたので、実は狙っていたのです。ただ実際にレースをしてみて、やっぱりスキーが少し弱かったと思います。泳力が弱い分、スキーでもっと前に行ってないと……。そこが敗因かな」
 と三木。トップを狙う選手には満足のいく結果ではないかもしれないが、2年間のブランクを経ての3位は立派だ。
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 オーシャンマン/ウーマンは、不得意種目をどう克服するか、そして競技の順番をどう攻略するかで、順位が大きく変わってくる種目だ。それが競技の面白さであり、難しさでもある。オールラウンドであることに越したことはないが、苦手なものを一つ一つ克服する過程で、競技者として、ライフセーバーとして、そして人間としても成長できるのだと思う。
 だからこそ、オーシャンマン/ウーマンの覇者は尊敬を集めるのだ。


チームのプライドをかけ
熱く、熱く燃えた団体種目


 初日に4種目、2日目に1種目、計5種目行われた団体種目。各クラブが総力をかけて挑んだチーム競技は、最初に行われたオーシャンマン/ウーマンリレー(スキー→スイム→ボード→ラン)から、抜きつ抜かれつのデッドヒートが繰り広げられた。LSweb
 
 オーシャンウーマンリレーでは、1種目目のサーフスキーで新島LSC(篠 郁蘭)、下田LSC(小松崎あゆみ)がリードしたが、続くスイムで湯河原LSC(河崎綾子)、西浜SLSC(坂本佳凪子)が逆転。そのままボードに繋げ、湯河原LSC、西浜SLSCの順番でゴール。3位には若手が顔を揃えた九十九里LSCが入った。
 
 続くオーシャンマンリレー。勝浦LSC(篠田智哉)がスキーで飛び出したが、スイムで湯河原LSC(平井康翔)、九十九里LSC(石川直人)、館山SLSC(清水雅也)、西浜SLSC(長竹康介)が順位を上げ、接戦のまま3種目目のボードへ。先頭で戻ってきた湯河原LSC(青木将展)と、同じ波に乗る西浜SLSC(小林 海)の勝負は、アンカーのラン走者に託された。LSweb

 トランジットが上手かったのは湯河原LSC(平松佑一)だが、ランの激走によりゴール間際で西浜SLSC(小田切伸矢)が逆転。地元の大応援団が歓喜の声を上げた

 初日の最終種目。レスキューチューブレスキューでは、オーシャンマンリレーで惜敗した湯河原LSCが、逆転勝利で雄叫びを上げた。救助者役の西山 俊は、
「実は大会の2〜3日前に溺者役の瀧川(隆史)をガンガン怒ったのですよ。調整の仕方がなっていないと。結果的にはこの発破が効いたようですね。瀧川は軽いので、波に乗りやすい。今日もちょうど波が来て、スッと波に乗れたので差をつけることができました」
 と、後輩の肩を叩いた。
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 2位の拓殖大学LSCとは僅差の勝負。ドラッガーの2人に話しを聞くと、
「僕はかれこれ5年ぐらいドラッガーをやっているのですけど、(西山)俊さんから『水際の魔術師』と呼ばれていて(笑)、ここは絶対に負けないと自信を持っていました」
 と、深井俊光。スーパーガリガリくんと呼ばれる瀧川、日本代表の西山、そして深井と山下智也という水際の魔術師たち。2日目に向けて、気合いを新たにした湯河原チームの面々だった。

 
 2日目唯一の団体種目ボードレスキューでも、逆転劇が見られた。救助者役のスイムが早かったのは湯河原LSC(平井康翔)。館山SLSC(鈴木陵平)、九十九里LSC(石川直人)、波崎SLSC(葺本康隆)の3チームはほぼ同じタイミングでブイに到達した。そこから猛烈な追い上げを開始したのが九十九里LSCだ。

「湯河原に追いついたのは、タンデムで半分ぐらい進んでからです」
 と石川。救助者役の菊地 光は、
「オーシャンマンレースが終わってすぐだったので、けっこうきつかったですが、今できることを落ち着いてやろうと思っていました」
 と息を切らした。菊地と石川はともに大学4年生。日本大学に通う菊地、神奈川大学で学ぶ石川は、良きライバルでもある。
「4年間一緒にやってきたライバルと、学生最後の全日本で一緒にレースができ、勝てて超うれしいです」
 と菊地。4年間、ともに切磋琢磨した2人は、がっちりと握手を交わした。
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 対する湯河原LSCの平井と青木将展は、一緒に練習した時間はごく僅か。即席コンビと言っても差し支えないが、それぞれの持ち味を発揮して2位に食い込んだ。
「それぞれの種目で1位を狙える実力がある2人が組めば、勝算があると読んでいたのですが・・・」
 と苦笑いする青木。その横で、
「これからの4年間でライフセービングをしっかりやります」
 と答えた平井だった。

 第38回全日本ライフセービング選手権大会。総合優勝は89ポイントで湯河原LSCが獲得した。2位の西浜SLSCとは僅か1ポイント差での勝利だった。3位は82ポイントで九十九里LSC。3チームともにCPRコンテストでもA評価を獲得しての表彰台だった。
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 総合成績が発表された瞬間、西浜SLSCの列の中にうつむく顔があった。競技委員長としてこの日に備えた荒井洋佑だ。今年11月、クラブ設立50周年を迎える西浜SLSCにとって、地元で開催されるこの大会にかける思いは、どのクラブにも負けないものがあっただろう。1ポイント差という惜敗に、
「俺が、私がもう一つ順位を上げていれば」と悔やんだ選手もいたはずだ。
 だが、これも運命。50年の歴史の中には、同じような思いをした先輩たちもいたと思う。その思いを胸に、51年目の歩みを進めてほしい。

 
 湯河原LSCにも、今年どうしても優勝した理由があった。LSweb
 それは長年、本場オーストラリアのライフセービングスピリットを教え続けてくれた、同クラブの顧問、エルネスト・ステファンズ、通称ソーリーさんに、最高の誕生日プレゼントを贈りたかったからだ。
 
 1999〜2002年の4連覇を含め、全日本優勝6回の湯河原LSCは2005年以来、優勝から遠ざかっていた。今年、80歳になったソーリーさんは、もちろんその時代も知っている。7年ぶりの古豪復活に、一番喜んでいるのはソーリーさんかもしれない。

「長年、私たちを指導してくださるソーリーさんが今年80歳になるということで、夏が始まる前から皆で絶対に優勝しようと、学生も社会人も一生懸命練習しました。その成果が出たと思います。7年前の優勝を経験したメンバーもいて、若手も育ってきて、とにかく嬉しいですね」
 
 興奮冷めやらぬメンバーたちの横で、重責から開放されたクラブ長の田中健太は、ほっとした表情を見せたのだった。

=敬称略。






第38回全日本ライフセービング選手権大会 競技会レポートVol.12012/10/10

2012.10.6-7 神奈川県・片瀬西浜海岸

全日本にかける
ライフセーバーたちへのオマージュ

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第38回全日本ライフセービング選手権大会が、
2012年10月6〜7日、神奈川県の片瀬西浜海岸で開催された。

東日本予選、中部・西日本予選を含めると、
59クラブ、1194人が参加した、今年最後にして最大の競技会。
誰もが特別な思いを胸に秘め、決戦の舞台に集合した。

熱戦が繰り広げられた大会2日間の模様を2回に渡って、じっくりと振り返ってみよう。
まずは、サーフスキーレースとビーチフラッグスから。

文・写真=LSweb編集室





社会人、激突!
サーススキー、西浜の陣


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 走る、泳ぐ、ボードやサーフスキーに乗る・・・。ライフセービング競技の幅は実に広い。個人種目もあれば団体種目もある。人によって得意な種目もあれば、苦手な種目もあるだろう。若手に有利と思われる競技もあれば、経験がものをいう競技もあるはずだ。その多様性がこのスポーツの魅力でもある。
 もちろん、新旧入り交じり接戦を繰り広げる種目も多いのだが、ライフセービングを始めて2〜3年目の選手では、ベテラン勢にとうてい太刀打ちできない種目がある。それがサーフスキーレースだ。

 大会初日に行われた女子のサーフスキーレース決勝で、スタートから飛び出し、終始レースをリードしたのは、結婚して名字が変わった元日本代表の篠 郁蘭(旧姓・鈴木、新島LSC)。2年間のブランクを感じさせない安定したパドルさばきで、2008年以来4年ぶりの優勝を飾った。
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 このレースで2位となったのが、昨年、日本体育大学を卒業した久保美沙代(和田浦LSC)だ。
 久保はレース後、
「3位、3位、3位ときて今年は2位。その間、1位は毎年変わっているのに私は……」
と、うつむき加減で話した。
 表彰台に登っても控えめな笑顔だったが、環境が変わった今年、順位を一つ上げることができたのは立派。サーフスキー競技には、お手本となる先輩たちがたくさんいる。頂点を狙うチャンスは、この先もあるはずだ。
 
 レースの後、実に楽しそうに談笑していたのが2000年の世界大会に出場した篠田敦子(館山SLSC)と、関西で精力的に活動する尾田依津子(神戸LSC)のアラフォー(失礼!)2人。入賞を逃した2人だが、
「この年代でも戦えるのがサーフスキーですね。がむしゃらに前を抜こうとするのではなく、落ち着いて視野を広くすると、自然と抜けるポイントが見えてくる、そういう競技でもあると思います」
 と尾田が言えば、
「もちろん、この歳でのトレーニングはきついですよ。でも全日本はやはり特別な大会です。それを目標に、そして『俺も苦しいのだから、お前も苦しめ』と一緒に練習してくれる同年代の仲間もいるので(笑)、がんばれています」
 と篠田が続ける。そして2人とも「とにかく楽しかった」と口を揃えた。
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 ところで、女子のサーフスキーレースは地方予選で16人に絞られ、本戦は一発決勝となる。スイムやボード種目に比べれば競技人口が少ないということもあるが、準決勝が行えるくらいの人数を本戦に送り込んでもいいのではと感じたのは記者だけではないはずだ。長く活躍できる種目だからこそ、参加枠を増やすことで、ライフセービング競技の底辺拡大に繋がると思うのだが、いかがだろうか。

 大会初日に準決勝、2日目に決勝レースが行われた男子のサーフスキーレースは、手に汗握る大混戦となった。本命は今年の種目別を制している松沢 斉(下田LSC)、対抗は昨年の全日本チャンピオンである落合慶二(東京消防庁LSC)だが、2人以外にも虎視眈々と頂点を狙う猛者たちが顔を揃えた。

 オーストラリアへ修行に出かけた西山 俊(湯河原LSC)、一昨年、昨年と2大会連続で3位に甘んじた篠田智哉(勝浦LSC)、過去にこの種目で表彰台に登ったことのある内田直人(勝浦LSC)や鈴木祐輔(湯河原LSC)、さらに入賞常連の出木谷啓太(九十九里LSC)などなど。
 
 彼らは皆、社会人だ。サーフスキーに限ったことではないが、全日本を目指す社会人たちは、早朝あるいは夜に眠い目をこすりながらトレーニングを続けている。一人で黙々と練習を積む日もあれば、ライバル同士、誘い合って練習する日もあるだろう。好きでやっていることとはいえ、練習時間がふんだんにある学生とは、全日本にかける意気込みが違う。だからサーフスキーレースのスタートは、独特の緊張感に包まれる。
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LSweb そんな雰囲気で行われた決勝レース。フォグホーンの合図で16人の選手たちが一斉にスキーの飛び乗り、猛然とパドルを回転させた。数秒後、船団から抜けだしたのは、薄紫、白、オレンジの3艇のスキー。それぞれ西山、松沢、落合が乗っていた。第1ブイを最初に回ったのは白、その後ろにオレンジが続く。最後の最後まで続いた2艇の接戦。ゴールライン上でガッツポーズを決めたのは白いスキーの松沢だ。落合は僅差の2位、3位は西山、4位は篠田という順位だった。
 
 実は初日の準決勝第1ヒート、松沢はスタートで大きく出遅れ、決勝に進出できるギリギリ最後の8番目でゴールに滑り込むというシーンがあった。「海底の貝殻に気を取られた」と松沢。決勝では見事なスタートダッシュで逃げ切った。

 「昨日の準決勝で失敗してしまったので、今日は朝一番で海に入り、1本練習レースをしてから本番に臨みました。体も動いていたし、朝の感覚が良かったのでそのまま突っ込みましたが、案の定、落合くんが後ろに来ましたよね。勝負の行方は最後までどうなるか分かりませんでしたが、今日はそれほどうねりがなかったので、なんとか振り切ることができました」
 と、レースを振り返った。

LSweb 一方、落合は、
「昨年と同じ展開になってしまいました。松沢さんの後について最後で抜くという。昨年は最後に並んで抜くことができましたが、それでは本当に勝ったことにはならない。第1ブイをトップで通過しなければ、と今年は特にスタート練習に力を入れていたのですが、結局、松沢さんの後塵を拝してしましました。パドル力で勝負できる今日のようなコンディションは得意なのですけど」
 と、コメントした。
 
 5位以下は荒井洋佑(西浜SLSC)、出木谷、菊地 太(東京消防庁LSC)、内田という順位。全日本に向け、お互いに刺激し合いながらトレーニングを積んできた彼らは、息を切らせながらも、皆、一様にすがすがしい笑顔を見せていたのが印象的だった。そして大会翌日から、早くも来年に向けた練習を始めた好き者も!
 パドラーたちの熱いバトルは、終わることがなさそうである。


混戦の男子ビーチフラッグス、
学生チャンピオンが全日本も制す

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 日本人ライフセーバーが世界と互角に戦える競技、ビーチフラッグス。この種目では、いつもハイレベルな戦いが繰り広げられる。特に力が拮抗している男子は、予選といえども、スタートの出遅れや一瞬の判断ミスで、実力のある選手があっさり敗退することもあるシビアな競技だ。
 
 今年は、全日本優勝7回、現在3連覇中の植木将人(西浜SLSC)、その植木を破り6月の種目別で優勝した和田賢一(式根島SLSC)、今年の全豪選手権で3位に入賞した平松佑一(湯河原LSC)、4年ぶりの優勝を狙うベテランの本多辰也(東京消防庁LSC)、昨年のインカレチャンピオン岡田浩平(愛知LSC)、今年インカレを制した竹澤康輝(勝浦LSC)、入賞の常連組だが優勝経験のない佐々木啓允(相良SLSC)、ケガから復帰した池谷 薫(柏崎LSC)、そしてニュージーランド人ながら、過去7回全日本での優勝経験があるモーガン・フォスター(サウスブライトンSLSC、オープン参加)といった注目選手が顔を揃えた。
 
 しかし、和田をはじめ、予選から有力選手が次々と落ちる波乱の幕開けに、何かが起こりそうな予感もあった。決勝に勝ち上がったファイナリストは、中山樹一郎(勝浦LSC)、石橋拓土(湘南ひらつかLSC)、望月龍之介(九十九里LSC)、安達和也(新島LSC)、そして竹澤の学生メンバーと、小田切伸矢(西浜SLSC)、植木、佐々木、フォスターのベテラン組。
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 そして決勝レース5本目、予感が現実のものとなった。圧倒的な強さで2000年代のビーチフラッグスを牽引してきた植木が、安達に競り負け敗退。2位以上を決める一戦では、百戦錬磨のフォスターと競った竹澤がフラッグを手中に収めた。そして決勝の最終レース。佐々木と竹澤の一騎打ちは、竹澤に軍配が上がった。この瞬間、2001年の猪爪賢史(式根島LSC)以来の、インカレと全日本の二冠達成が実現した。
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 ヒーローインタビューで「最後のレースは良く覚えていません」と答えた竹澤。その姿を見つめながら、「モーガンに勝っての優勝はすごい」と植木が若手の快挙を称えた。植木とフォスターは共に全日本優勝7回を誇る。その植木をしても、インカレとの二冠は達成していない。高校までは新体操をやっていたという大学3年生、竹澤の今後の活躍が楽しみだ。

 絶好のチャンスを逃した佐々木は、ベスト3決定戦あたりから左太ももに違和感があったようだ。予選、二次予選、準決勝、そして決勝と戦う長丁場のビーチフラッグス。肉体的にも、そして精神的にもスタミナのいる、ハードな競技であることには違いない。
「条件は皆、同じですから」と話す佐々木は、その後「やっぱり歳のせいなのかなぁ」と続けた。今年、26歳になったと言う佐々木。その言葉を口にするのはまだまだ早いだろう。植木もフォスターも本多も、年男の36歳だ。そして女子にはあの人がいる。


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 女子のビーチフラッグスも若手の台頭が光ったが、しかしやっぱり、女王は強かった。結婚して名字が変わり、所属クラブが西浜SLSCから柏崎LSCに変わっても池谷雅美(旧姓・遊佐)は健在。予選から決勝まで、集中力を切らすことなく圧倒的な強さで19回目の全日本優勝を手にした。

 優勝インタビューでは、
「今年39歳になりました。皆さんもまだ10年、20年とライフセービングを続けてください」
 と朗らかにコメント。2位の但野安菜(勝浦LSC)は、そんな彼女に憧れてこの世界に飛び込んできた大学1年生だ。20歳という年齢差を超えて大学生と勝負する池谷。

 ライフセービングに引退はないと公言し、それを実践する彼女は、誰もが認めるライフセービング界のスーパースターだ。

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=敬称略。(「競技会レポートVol.2」へつづく……お待たせしました、Vol.2&成績表UP済みです。どうぞご覧下さい!!)





第38回全日本ライフセービング選手権大会・News Flash②2012/10/08

第38回全日本ライフセービング選手権大会・速報②

文・写真=LSweb編集室





湯河原LSC、7年ぶりの総合優勝!

 全日本ライフセービング選手権大会の2日目(10/7)は、昨日とうって変わり、肌寒い雨でのスタートとなった。雨で砂が絞まったコンディションの中、まず行われたのが男女の2kmビーチランで、男子は東京消防庁LSCの浅見泰希が復活優勝、女子は下田LSCの鈴木さゆりが優勝した。

LSweb 遊歩道に近いビーチエリアでは、朝から順次ビーチフラッグスの予選、準決勝、そして決勝レースが行われていた。ライフセービング競技の中で最も知名度のある種目ということもあり、笛の音で道行く人の多くが足を止め、LSwebライフセーバーたちの真剣勝負を見つめ、その迫力に魅了されたようだった。
 そのビーチフラッグスでは、見応えのある勝負の裏で、数々のドラマも繰り広げられた。歓喜あり、悔しさあり、涙あり……。1レースの所用時間はわずか3〜4秒だが、そこに至る道のりは長く険しい。今年、その頂きを制したのはビーチフラッグス界のスーパースター、柏崎LSCの池谷雅美と、20歳のニュージェネレーション、勝浦LSCの竹澤康輝だった。

 
 新旧ライフセーバーが激しく争う場面は、オーシャン競技でも何度も見られた。泳力を競うサーフレース、予選会も含め出場選手が最も多かったボードレース、そして総合力で勝負するオーシャンマン/ウーマンの個人種目と、団体種目のボードレスキューで、今日、日本一が決定した。
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 総合優勝を手にしたのは湯河原LSC。2005年以来、7年ぶりの快挙で古豪復活をアピールした。2位は1点差に泣いた西浜SLSC。残念ながら、クラブ創立50周年に優勝という花を添えることができなかった。3位は九十九里LSC。男女とも若手が大活躍し、こちらも5年ぶりに表彰台に上った。

 大会2日目の競技結果は以下のとおり。
 
 *全日本LS選手権大会の詳細レポートやフォトアルバムなど、改めて順次アップしていきますので、
  どうぞお楽しみに!


大会2日目の結果

☆ 2kmビーチラン男子
1位:浅見泰希(東京消防庁LSC)、2位:河上尚輝(昭和第一学園高校LSC)、3位:新堀進悟(土肥LSC)、4位:鈴木友三朗(和田浦LSC)、5位:浅岡紘季(大竹SLSC)、6位:橋本憲治(式根島LSC)、7位:中川慎太郎(西浜SLSC)、8位:土肥崇弘(勝浦LSC)

☆ 2kmビーチラン女子
1位:鈴木さゆり(下田LSC)、2位:河本桂奈(下田LSC)、3位:佐々木聡美(西浜SLSC)、4位:渡邊来美(飯岡LSC)、5位:山田美月(岩井LSC)、6位:岡本伊代(館山SLSC)、7位:廣江史子(大阪体育大学LSC)、8位:小林亜美(九十九里LSC)

☆ ビーチフラッグス男子
1位:竹澤康輝(勝浦LSC)、2位:佐々木啓允(相良SLSC)、3位:安達和也(新島LSC)、3位:モーガン・フォスター(サウスプライトンSLSC)、4位:植木将人(西浜SLSC)、5位:小田切伸矢(西浜SLSC)、6位:望月龍之介(九十九里LSC)、7位:石橋拓土(湘南ひらつかLSC)、8位:中山樹一郎(勝浦LSC)

☆ ビーチフラッグス女子
1位:池谷雅美(柏崎LSC)、2位:但野安菜(勝浦LSC)、3位:宮崎早穂(鴨川LSC)、4位:小坂莉緒(和田浦LSC)、5位:金坂佳瑛(新島LSC)、6位:松井なつ美(今井浜LSC)、7位:小室亜希(スポーツプレックスLSC)、8位:岩井奈穂(勝浦LSC)

☆ サーフスキーレース男子
1位:松沢 斉(下田LSC)、2位:落合慶二(東京消防庁LSC)、3位:西山 俊(湯河原LSC)、4位:篠田智哉(勝浦LSC)、5位:荒井洋佑(西浜SLSC)、6位:出木谷啓太(九十九里LSC)、7位:菊地 太(東京消防庁LSC)、8位:内田直人(勝浦LSC)

☆ サーフレース男子
1位:平井康翔(湯河原LSC)、2位:益子進一(九十九里LSC)、3位:菊地 光(九十九里LSC)、4位:中本直也(拓殖大学LSC)、5位:清水雅也(館山SLSC)、6位:鈴木陵平(館山SLSC)、7位:黒木健太(大阪体育大学LSC)、8位:平田栄史(館山SLSC)

☆ サーフレース女子
1位:三井結里花(九十九里LSC)、2位:坂本佳凪子(西浜SLSC)、3位:毛利 邦(館山SLSC)、4位:栗真千里(白浜LSC)、5位:越中万智(九十九里LSC)、6位:川崎綾子(湯河原LSC)、7位:木下瑛理子(九十九里LSC)、8位:鈴木聖美(九十九里LSC)

☆ ボードレース男子
1位:小林 海(西浜SLSC)、2位:青木将展(湯河原LSC)、3位:坂本 類(波崎SLSC)、4位:土井崇弘(勝浦LSC)、5位:森田一輝(波崎SLSC)、6位:長竹康介(西浜SLSC)、7位:田島 亮(湯河原LSC)、8位:深井俊光(湯河原LSC)

☆ ボードレース女子
1位:篠 郁蘭(新島LSC)、2位:勝俣 閑(西浜SLSC)、3位:宮田沙依(飯岡LSC)、4位:河本桂奈(下田LSC)、5位:竹内梨香(湯河原LSC)、6位:原田香菜(下田LSC)、7位:水間菜登(勝浦LSC)、8位:名須川沙綾(茅ヶ崎SLSC)

☆ オーシャンマンレース
1位:長竹康介(西浜SLSC)、2位:西山 俊(湯河原LSC)、3位:落合慶二(東京消防庁LSC)、4位:菊地 光(九十九里LSC)、5位:石川直人(九十九里LSC)、6位:森田一輝(波崎SLSC)、7位:菅沼寛也(下田LSC)、8位:坂本 陸(和田浦LSC)

☆ オーシャンウーマンレース
1位:三井結里花(九十九里LSC)、2位:名須川沙綾(茅ヶ崎SLSC)、3位:三木玲奈(湯河原LSC)、4位:佐伯芽維(白浜LSC)、5位:川崎綾子(湯河原LSC)、6位:毛利 邦(館山SLSC)、7位:宮田沙依(飯岡LSC)、8位:髙橋志穂(柏崎LSC)
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☆ ボードレスキュー
1位:九十九里LSC(石川直人、菊地 光)、2位:湯河原LSC(平井康翔、青木将展)、3位:波崎SLSC(葺本康隆、森田一輝)、4位:西浜SLSC(長竹康介、小林 海)、5位:下田LSC(高岡洋介、齊藤勝茂)、6位:館山SLSC(鈴木陵平、伊藤俊輔)、7位:愛知LSC(中根和記、吉田亮平)、8位:勝浦LSC(榎本慶明、内田直人)




☆ 総合成績
1位:湯河原LSC(89ポイント)、2位:西浜SLSC(88ポイント)、3位:九十九里LSC(82ポイント)、4位:勝浦LSC(65ポイント)、5位:下田LSC(63ポイント)、6位:新島LSC(45ポイント)、7位:館山SLSC(38ポイント)、8位:波崎SLSC(37ポイント)







第38回全日本ライフセービング選手権大会・News Flash①2012/10/06

第38回全日本ライフセービング選手権大会・速報①

文・写真=LSweb編集室





全日本初日、熱戦の火ぶたは切って落とされた!

 38回目を数えるライフセービング競技の全日本選手権大会が、神奈川県の片瀬西浜海岸で10月6日、7日の2日間開催されている。

 6日の初日は、ビーチ競技で2種目(ビーチスプリント男女、ビーチリレー)、オーシャン競技で3種目(レスキューチューブレスキュー、オーシャンマン/ウーマンリレー、サーフスキーレース女子)の決勝が行われた。
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 台風19号の波がまだ少し残っている状態で行われたオーシャン競技は、イン・アウトのテクニックで勝敗が決まる場面もあり、目を離せない白熱した展開に。またビーチ競技は若手の台頭が目立ち、ベテラン勢は苦戦を強いられる結果となった。

 なお、今日行われるはずだった男子サーフスキーレースの決勝は、第2ヒートが再レースとなったため、明日の朝8時50分にスタートする。実力伯仲のレース。お楽しみは明日に持ち越しだ。

 では初日の結果をお知らせしよう。


大会1日目の結果

☆ ビーチスプリント男子
1位:石井雄大(白浜LSC)、2位:岡田浩平(愛知LSC)、3位:岩井寛文(鴨川LSC)、4位:小田切伸矢(西浜SLSC)、5位:モーガン・フォスター(サウスブライトンSLSC)、5位:植木将人(西浜SLSC)、6位:本多辰也(東京消防庁LSC)、7位:森 新太郎(飯岡LSC)、8位:松本雄二郎(和田浦LSC)

☆ ビーチスプリント女子
1位:池谷雅美(柏崎LSC)、2位:山田未来(鴨川LSC)、3位:神戸友美(西浜SLSC)、4位:渡辺夏海(湘南ひらつかLSC)、5位:但野安菜(勝浦LSC)、6位:犬島未歩(土肥LSC)、7位:小形梨紗(昭和第一学園高校LSC)、8位:渡嘉敷 萌(下田LSC)

☆ ビーチリレー
1位:勝浦LSC(安里 翼、千葉崇弘、石川拓実、西村知晃)、2位:飯岡LSC(武田 敦、森 新太郎、星田弘祐、小泉寛高)、3位:下田LSC(石井 颯、佐野太郎、富樫侑太、久 源太)、4位:西伊豆LSC(小檜山勇人、岡田拓人、下館朋広、寺尾匡人)、5位:柏崎LSC(内山絢太、安澤勇次、中島良平、池谷 薫)、6位:白浜LSC(西山晃祐、石井雄大、竹内祐介、栗山雅俊)、7位:大洗SLSC(渡邉彰俊、平野貴大、鈴木崇章、遠藤孝行)

LSweb☆ サーフスキーレース女子
1位:篠 郁蘭(新島LSC)、2位:久保美沙代(和田浦LSC)、3位:小松崎あゆみ(下田LSC)、4位:猪又美佳(茅ヶ崎SLSC)、5位:星野有美(用宗LSC)、6位:堀内敦子(下田LSC)、7位:大島由美(湯河原LSC)、8位:三木玲奈(湯河原LSC)






LSweb☆ オーシャンマンリレー
1位:西浜SLSC(荒井洋佑、長竹康介、小林 海、小田切伸矢)、2位:湯河原LSC(西山 俊、平井康翔、青木将展、平松佑一)、3位:波崎SLSC(森田一輝、葺本康隆、坂本 類、溝上飛鳥)、4位:九十九里LSC(出木谷啓太、石川直人、菊地 光、望月龍之介)、5位:館山SLSC(佐藤和伯、清水雅也、伊藤俊輔、鈴木陵平)、6位:勝浦LSC(篠田智哉、亀ノ上僚仁、和田健人、石塚謙太)、7位:東京消防庁LSC(落合慶二、菊地 太、小出大祐、本多辰也)、8位:新島LSC(髙橋 崇、中島 章、園田 俊、安達和也)


LSweb☆ オーシャンウーマンリレー
1位:湯河原LSC(三木玲奈、河崎綾子、竹内梨香、印藤奈美)、2位:西浜SLSC(中村 遙、坂本佳凪子、勝俣 閑、神戸友美)、3位:九十九里LSC(三井結里花、木下瑛理子、清水友紀、髙橋沙恵)、4位:下田LSC(小松崎あゆみ、田村 理、原田香菜、渡嘉敷 萌)、5位:新島LSC(篠 郁蘭、大淵真理子、田原ありい、金坂佳瑛)、6位:館山SLSC(篠田敦子、河田聖良、毛利 邦、岡本伊代)、7位:白浜LSC(佐伯芽維、山口夏未、栗真千里、國武あかね)、8位:茅ヶ崎SLSC(猪又美佳、名須川茉莉乃、名須川沙綾、下里彩佳)


LSweb☆レスキューチューブレスキュー
1位:湯河原LSC(瀧川隆史、西山 俊、深井俊光、山下智也)、2位:拓殖大学LSC(橋本将吾、中本直也、髙橋敏明、島田善行)、3位:九十九里LSC(菊地 光、岡田 悟、新地弘太郎、土屋良太)、4位:勝浦LSC(亀ノ上僚仁、篠田智哉、清水聡史、濱田直人)、5位:波崎SLSC(葺本康隆、小河原 亮、城 淑人、本多翔太)、6位:新島LSC(大出 旭、髙橋 崇、木塚孝夫、須藤竜乃介)、7位:湘南ひらつかLSC(井上祐介、佐藤光太朗、永井耀二、石橋拓土)









第27回全日本学生ライフセービング選手権大会
競技会レポートその2
2012/09/24

2012.9.22-23 千葉県・御宿中央海岸

日体大がアベック優勝で雪辱を果たす



夏の間、各地の浜に散り
ガードを行った学生ライフセーバーたちは、
学校という絆で再び結集し、インカレに望む。
母校の伝統とプライドを胸に……。


文・写真=LSweb編集室





日本体育大学vs国際武道大学。覇者を巡る戦い

 時折、雨脚が強くなる中、オーシャン競技でも熱戦が繰り広げられた。個人種目のサーフレース。最初にスタートした女子は、ブイを回った後も大集団のままゴールを目指す展開となった。混戦の中、最後の最後で波に乗り、逆転したのが栗真千里(日本体育大学)だ。水から上がるタイミングは、2位の三井結里花(日本大学)とほぼ同じだったが、先にゴールラインを駆け抜けたのは小柄な栗真だった。
 プール競技では表彰台常連の栗真だが、サーフ種目では嬉しい初優勝。2位は三井、3位は大塚彩加(東海大学湘南校舎)が続いた。
 
 男子サーフレースは日本代表でもある菊地 光(日本大学)が、追いすがる後続勢をかわし1位でゴールし、種目別との二冠を達成した。2位は石川直人(神奈川大学)、3位は丸橋侑生(法政大学)。実は男子サーフレースの1〜3位はいずれも九十九里LSCの所属。強力なスイマー軍団を擁する同クラブの、全日本での活躍に注目したい。

 個人種目の最後となるオーシャンウーマン、オーシャンマンレースは、ボード→スキー→スイムの順番で行われた。オーシャンウーマン、最初のボードでリードしたのが宮田沙依(日本体育大学)。スキーに入ると日本代表の三井が実力を発揮し、宮田を抜いて先頭に。3位は名須川だ。名須川はボードのスタートでアクシデントがあり大幅に出遅れたが、得意のスキーでごぼう抜きし3位まで順位を上げてきた。そして最後のスイムは三井が危なげなく泳ぎきり、オーシャンウーマンの学生チャンピオンに輝いた。2位の宮田、3位の名須川に順位の変動がなかった。
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 一段と雨脚の強くなったオーシャンマン。スタートから首位を守り、優勝したのが菊地だ。スキーではサーフスキーレース2位の加藤に並ばれる場面もあったが、波を確実に掴んでリードを保ち、スイムでもアウトの最後で波に乗り2位以下との差を広げてゴールした。大学4年生の菊地にとって、インカレのオーシャン競技はこれが最後。昨年の3位から1位に躍進した。
 2位の加藤は、
「ボードで出遅れたのが敗因です。得意のスキーで余力を残し、スイムで逆転する作戦だったのですが、ボードで出遅れたためにスキーも全力投球となってしまい、スイムに入った時には追い上げる体力が残っていませんでした」
 と悔しそう。

 反対に3位に入った園田 俊(流通経済大学)は、
「自分はとにかく最初から全力で行くしかありませんでした。ただ、夏前に膝をケガして、夏はスキーもボードもほとんど乗れなかったのです。その替わりに、ひたすら泳いでいました。今回、スイムが最後だったのは自分にとっては良い順番だったと思います。来年、もう1年あるのでがんばりたいです」
 とメダルを獲得したことで、新たなモチベーションを得たようだ。

 総合優勝の行方を占う団体種目は、熾烈な戦いとなった。特に男子は昨年、国際武道大学が、日本体育大学が2000年から10年間守り続けてきた総合優勝の座を奪取。連覇を狙う国際武道大学と、奪還を誓う日本体育大学が、最後の最後までガチンコ勝負を繰り広げた。
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 LSweb男子ボードレスキューでは、1位の早稲田大学に続き、日本体育大学が2位に入り、両校のスクラッチレースは日本体育大学が一歩リード。続く男子ボードリレーでは、どちらも表彰台に上がることができずドロー。男子レスキューチューブレスキューでは国際武道大学が1位、日本体育大学は表彰台を逃した。そしてついに最終種目の男子1km×3ビーチランリレーとなった。絶叫に近い応援を背にビーチを走る学生たち。この種目1位となったのは、脚力自慢を揃え、部員全員の気持ちを襷(たすき)で繋いだ日本体育大学だった。LSweb
 この時点で日本体育大学男子の総合優勝が確定した。国際武道大学は5ポイント差で2位。もったいないレースもあっただけに、悔しい結果となった。3位は2位と2点差で早稲田大学。4位は法政大学が入った。早稲田と法政は同点だったが、上位入賞者の多い早稲田が3位に。それでもクラブ史上最高位を獲得した法政は喜びを爆発させた。その他、入賞したチームはいずれも僅差。男子は今後も群雄割拠の時代が続きそうだ。
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 女子はというと、団体種目すべてで優勝した日本体育大学が2位に23ポイントの差をつけ優勝。三井の活躍が目覚ましかった日本大学が2位、日本女子体育大学が3位だった。

LSweb「男女アベック優勝することを目指して練習してきたので嬉しいです。国際武道大学はもちろんマークしていましたが、菊地、三井という代表選手がいる日本大学も気になる存在でした。法政大学がビーチランリレーで上がってきた時にはびっくりしましたね。途中、ヒヤヒヤしたこともありましたけれど、ひとまず総合優勝できてホッとしています」
 と笑顔を見せるのは日本体育大学の男子主将、上原脩太だ。

 日本体育大学の強さは、なんといっても層が厚いこと。現在の部員数は106人。今年入った1年生も29人が残っているという。部員が多ければバラエティーに富んだ選手が集まり、それぞれの強みを生かすことができる。もちろん、人数が多いぶん部内競争は厳しく、上級生だからレースに出られるという保証はない。それでも一致団結できる結束力は、ライフセービング競技がただのスポーツではないからだろう。
「うちには絶対的なエース、という存在はいないかもしれません。でも総合力ならどこにも負けない。そういう心意気で活動しています」
 と話すのは、同大OBでもある草柳尚志コーチ。絶対的なエースがいないということは、代が替わってもほぼ同じレベルを維持できるということだ。日本体育大学がインカレで勝ち続ける理由は、そんなところにもあるのかもしれない。
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※下記成績表の速報は上位3名(表彰台)のみ掲載。入賞者の成績は、日本ライフセービング協会のHPをご覧ください。








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