Competitions

SERCで日本ユースが銅メダル獲得!
A代表は8位入賞
1位はともにオーストラリア
2012/11/07

RESCUE2012 現地レポート①

 レスキュー2012が開幕した。初日の競技はSERC。A代表が参加するオープンクラスは24チーム、B代表が参加するU19クラスは7チームが参加し、ライフセービングの本質である救助の技を競ったのだった。

 救助現場は50mプール全面。競技時間は2分間。アクセス可能区域は10mほどの一画に限られるという設定は、オープン、U19ともに同じだ。
 
 要救助者はオープンクラスの場合、軽溺7人、重溺(水没マネキン)2人、陸上に傷病者1人という配置。使用できる機材は、水上にレスキューチューブ、軽溺者が使用していたと思われる浮き輪、マット×2、ビート板が浮いており、陸上には1m程度の棒とバケツが置かれていた。
 
 一方、U19の要救助者は軽溺6人、重溺(水没マネキン)2人、陸上に傷病者1人という設定。使用できる機材は、陸上にロープとゴムボール、水上には浮き輪×2、ライフジャケット、レスキューチューブが浮かんでいた。

 オープンクラスから競技が始まったが、日本代表は24チーム(エントリー26チームのうち2チームが危険)中21番目の登場。前回大会で入賞したオーストラリア、カナダ、アイルランド、南アフリカ、スペインはいずれも日本の前に競技を終えており、その中では軽溺、重溺を含めすべての溺者を救助したオーストラリアが一歩リードしているように見えた。

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 そして登場したA代表。リーダー役の植木将人選手の指示を受け、長竹康介選手、西山 俊 選手、三井結里花選手が水に飛び込む。長竹、三井両選手はプールの右サイド、西山選手は左サイドを中心に救助活動を行う。競技中盤、軽溺者を救助していた三井選手から「重溺発見!」の声。すかさず、すでに軽溺者1人を救助し終えた長竹選手がサポート入った。
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 A代表の動きは悪くないように見えた。しかし、50mプール全面を使用した設定に、救助しきれない溺者がいたのも事実。軽溺6人、重溺1人を救助した時点で競技時間が終了した。

 日本A代表が救助することのできなかった軽溺1人と重溺1人は、実は多くのチームも救助できなかった。
 重溺者がいる位置がエントリーできる場所からかなり離れていること、また水に完全に沈んでから再び浮き上がってくる軽溺者の演技が迫真に迫っており、瞬間的に見ただけではなかなか発見することができなかったことがその理由だ。LSweb

 短い休憩を挟んでU19クラスのSERCが始まった。競技順は香港、カナダ、スペイン、ニュージーランド、オーストラリア、日本、アメリカ。

 ユースチームながら、どの国も落ち着いて救助活動を行っているのが印象的だった。中でも、カナダは機材を上手に使いスムースな救助を行い、オーストラリアはオープンクラス同様、重溺を含むすべての溺者にアプローチしていた。
 
 最後から2番目となった日本B代表のリーダーは高橋愛海選手。小林 海 選手、坂本 陸 選手、皆川彩菜選手が水中での救助を担当した。中でもプール左サイドを受け持った坂本選手が、軽溺と重溺を一度に救助する活躍を見せ、B代表は時間内にすべての溺者にアプローチした。
 競技終了後、会場から大きな拍手をもらう出来栄えに、選手たち、そしてコーチ陣も手応えを掴んだようだった。
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 結果はオープンクラスが8位、U19クラスが3位。B代表は優勝が期待できる活躍だっただけに残念な気持ちも残るが、表彰台に登る3位は立派な成績。気落ちせずに明日からもがんばって欲しい。LSweb

 競技内容と採点基準に関しては、オフィシャルにインタビューしてからご報告する。今しばらくお待ちいただきたい。

[SERC成績表]LSweb
オープンクラス
1位:オーストラリア(261.3ポイント)
2位:ノルウェー(246.0ポイント)
3位:カナダ(225.8ポイント)
4位:ニュージーランド(225.5ポイント)
5位:イギリス(224.5ポイント)
6位:フランス(206.8ポイント)
7位:アイルランド(204.3ポイント)
8位:日本(197.8ポイント)

U19クラス
1位:オーストラリア
2位:カナダLSweb
3位:日本
4位:ニュージーランド
5位:スペイン
6位:アメリカ
7位:香港









大会直前 レスキュー2012情報 その6
SLSA主催のデベロップメントプログラムが大好評
2012/11/07

Rescue2012 Preview Vol.6

 レスキュー2012の開催国であるオーストラリアは、言わずと知れたライフセービング王国であるが、今回、改めてこの国の凄さを知る出来事があった。それが、ライフセービングの発展途上国を対象とした、デベロップメントプログラムの開催である。
 
 正式名称は「ライフセービング&スポーツ デベロップメントプログラム」というのだが、要はこれからライフセービングを普及していこうという国々のチームを世界大会に招待し、事前に選手およびコーチに対するクリニックを行って、レスキュー2012の本番に送り出すというプログラムだ。

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 主催はサーフライフセービング・オーストラリア(SLSA)。大会前日まで3日間かけ、プール競技およびサーフ競技のルール説明、機材の取り扱い方法、そして実技から、コーチング学、オフィシャル育成の方法まで、SLSAのスタッフが時に身振り手振りで、熱心に直接指導していた。LSweb

 今回、このプログラムに参加したのは14カ国(下記参照)、102人の選手と35人のコーチたち。マネキンに触るのは初めてという選手もいれば、ボードやサーフスキーに初めて乗る選手も大勢いたようで、講習会は終始なごやかな雰囲気。プログラム最終日には、国籍を超えて笑顔で談笑するする姿がそこかしこで見られ、少し羨ましい感じもした。

 一方、選手たちがクリニックを受ける姿を見つめるコーチたちの目は真剣そのもの。メモを取りながら、あるいは何度も質問する姿が印象的だった。
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 プログラム参加国の一つ、スリランカ・ライフセービング協会のGunarathna会長は「今までいろいろな講習や講演を受けてきたが、このプログラムがベストです」と力説。「実技だけでなく、コーチングのテクニックも勉強することができるのが素晴らしいですよ」と話してくれた。
 
 スリランカは昨年、南アジア・ライフセービング大会を初めて開催するなど、ライフセービングの普及に力を入れているアジア圏の国の一つだ。同国のライフセービング協会が設立されたのは1979年だが、2000年代に入るまではそれほど普及が進んでいなかったという。

 しかし現在は、SLSAに資格に準じたブロンズメダリオン(ベーシックライフセービング資格)を独自に発行できるようになり、取得者は5000人まで増えたそうだ。
 「ただ、実際にライフセービング活動をしているのは1000人程度。これからは日本も含め、アジア圏で協力してライフセービングを普及していきましょう。アジアがまとまれば、もっと力を発揮できるはずです」と熱く語ってくれたのだった。
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 1980年代のSLSAのサポート抜きに、今日の日本のライフセービングはなかったと言っても過言ではないだろう。
 今回のプログラムを目の当たりにして、日本ができることはなんだろうかと改めて考えさせられた。

 競技力では間違いなくアジアトップの日本。世界ナンバーワンのオーストラリアがそうであるように、アジアナンバーワンの日本にも、やらなければならない使命があるのではないだろうか。
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デベロップメントプログラム参加国
マレーシアLSweb
インドネシア
フィリピン
タイ
パキスタン
フィジー
スリランカ
インド
カメルーン
ケニア
ブラジル
アルゼンチン
マケドニア
ラトビア
(14カ国/順不同)

文・写真=LSweb編集室





大会直前 レスキュー2012情報 その5
総合優勝を狙うニュージーランドチーム
2012/11/06

Rescue2012 Preview Vol.5

 いよいよ明日からレスキュー2012が始まる。
 日本代表は午前中にプールで、午後から海での最終調整を行い、明日の本番に備えた。

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 午前中、日本代表と同じ時間にプール調整を行っていたのが、1998年以来の世界王者を狙うニュージーランドチームだ。スコット・バートレット監督にプールサイドで話しを聞いた。LSweb

——チームの調子はいかがですか?

バートレット監督(以下、バートレット):今回はケガ人も今のところ出ていないし、良い調子で仕上がっていますよ。

——目指すはワールドチャンピオンですよね?

バートレット:もちろんです、そのために頑張ってきましたからね。6年計画ですよ。6年がかりでチームをここまでにしました。いやぁ、がむしゃらにやりましたし、大変でしたよ。

——前回のエジプト大会では、オーストラリアに僅差で敗れましたね。今回はどこを強化してきたのでしょうか?

バートレット:プール競技を得意とする選手を土台に、サーフ競技の強化を徹底してきました。ボードやスキーといったクラフト系は、特に力を入れて強化しましたね。もちろん、ビーチも強いですよ。

——6年がかりでチーム作りをしてきたということですが、代表選手の選抜はどのようにしているのですか?

バートレット:ニュージーランドでは1年間に4つの大きな大会があります。その4大会の結果を基準に選抜しています。オープンクラス(A代表)に参加する選手たちは、学生と社会人が半々ぐらいでしょうか。メンバー決定は今年の6月。それから半年間にわたって、チームで練習を続けてきました。LSweb

——ユースメンバー(B代表)も基本的に同じ選考方法ですか?

バートレット:そうです。練習はオープンクラスと合同でやることもありますし、別々にやることもあります。オープンクラス同様、ユースチームがオーストラリアのユースとどんな戦いをしてくれるのか、とても楽しみにしています。

——そろそろオーストラリア以外の国が頂点に立つところを見たいですものね。

バートレット:それは私も同じですよ。お互いに頑張りましょうね。

 国際ライフセービング連盟(ILS)が主催するようになってから、レスキューシリーズでオーストラリアを破ったことがあるのは、隣国であるニュージーランドだけ。今回はオリンピックスイマーもメンバーに加わっている。
 黒いユニフォームに身を包むキーウィ軍団と、黄色と緑がトレードマークのオージー軍団の戦いはいかに……!



文・写真=LSweb編集室





第10回大会を開催
神奈川県ライフセービングプール選手権大会
2012/11/06

 神奈川県ライフセービング連盟(KFL)が主催するライフセービングのプール競技会が、今年も大勢の参加者を集めて開催された。記念すべき第10回大会の様子を、KFLの和田明也さんにレポートしてもらった。成績表も合わせてどうぞ。(LSweb編集室)

文・写真=和田明也(KFL)




 11月4日(日)さがみはらグリーンプール(相模原市立総合水泳場)にて、「第10回神奈川県ライフセービングプール競技選手権大会」(主催:NPO法人神奈川県ライフセービング連盟)が開催され、41チーム554人(内、小中学生93人)が参加しました。

 開会式・選手宣誓では、ジュニア・ライフセーバー出身、松崎みづき さん(西浜SLSC所属)が行い、指導してくれた方々への感謝、学んだことを活かし、さらなる活躍を目指して正々堂々と競技に臨むことを力強く宣誓しました。

 大会は、大会新記録・日本新記録などはでませんでしたが、リレー種目ではチームメイトの声援が大きく、選手の活躍が目立ちました。
 また、ジュニア種目では、保護者やコーチ、チームメイトの声援を受けながら懸命に泳ぐ姿に、今後の活躍を期待させてくれる有意義なものとなりました。
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大会直前 レスキュー2012情報 その4
ヤングパワーに注目! ユース日本代表
2012/11/05

Rescue 2012 in Adelaide Preview Vol.4

 レスキュー2012のサーフ競技会場となるグレネルグの町は、南オーストラリア州の州都、アデレード中心地から車で約20分の距離にある、海辺のリゾート地。アデレードからはバスまたはトラム(路面電車)でアクセスでき、トラム駅の目の前には、町のシンボルともなっている海へと長く伸びる桟橋がある。

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 ナショナルチーム部門のオーシャン競技は、桟橋から海に向かって右手エリアで行われる。天候にもよるが、海面は基本的にフラットで遠浅。ビーチはきめの細かいパウダーサンド、というコンディションだ。

 11月3日に現地入りし、4日から最終調整に入った日本代表選手団は、大会本番に向け、良い意味で緊張感を高めているように見受けられた。大会2日前となる今日(5日)は、午前中にプール競技の会場となるサウスオーストラリア・アクアティックレジャーセンターで練習を行った。

 五輪選考会などが行われる施設というだけあり、「泳ぎやすいプールでした」というのが、選手たちの共通の認識のようだが水深は3m。これがマネキンピックアップなどにどう影響するか気になるところだ。
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 日本と入れ替わりでプール練習を終えたのが、国際ライフセービング連盟(ILS)の事務局があるベルギーチームの面々。チームマネージャーに話しを聞いたところ、「今回はプール競技で10位以内を目指している」との答え。

 「来年開催されるワールドゲームスの出場資格が、プール競技の10位までだからね。ベルギーの場合、活動の主体がプールなので、どうしてもプール競技にフォーカスを当ててしまうことになる。個人種目は決勝に残れないものもあるかもしれないけれど、リレー種目は決勝レースで上位に食い込みたいと思っているよ」
 と自信をのぞかせた。
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 午後からはオーシャン会場での練習が予定されていたが、雷雨の影響で早々に切り上げる羽目に……。夕食までの時間は、宿舎ホテルのジャグジーにつかったり、イメージトレーニングをしたりと思い思いの時間を過ごした。
 
 大会前日の明日は、軽めの練習で体調を整え本番に備える。最初の種目、SERCは現地時間の7日午後1時から開始される予定だ。

 ところで、今大会では初の試みとして各国の19歳以下が競う、ナショナルユース部門が新設された。日本のユースチーム(B代表)を率いる飯沼誠司監督に、期待と抱負を語ってもらった。LSweb

——B代表にはどんな活躍を期待していますか?

飯沼監督(以下、飯沼):B代表の選手たちには成績ウンヌンということよりも、今回の経験を生かして、次の世代の日本代表になるように、と言い聞かせています。今回は初めての経験なので、今まで練習してきた成果をきちんと出すこと、そしてこれが終わりではなく、フランスで開催されるレスキュー2014では彼らが代表として世界相手と戦えるようになることを期待しています。

——先が楽しみですね。

LSweb飯沼:B代表は中期的な視点で育てていますので、A代表とは違うメニューを取り入れることも多いのです。でもだからと言って、成績はどうでもいいということではありません。世界ナンバー1のオーストラリアのユース選手にどこまで迫ることができるか、またプール競技はタイムが出ますから、代表レベルと遜色のないタイムを出してほしいですね。

 B代表のキャプテンを務める小林 海 選手は、「大会まであと2日ですが、チームの雰囲気は良いと思います」と笑顔を見せる。
 個人の目標は? と聞くと少し小さな声で「メダルを獲りたいですね」と一言。そして「もちろんボードレースもがんばりますが、SERCでメダルを獲りたいです」と続けた。
 
 そう話す小林キャプテンの横で、ジュニア時代からの同期である坂本 陸 選手が「ボードレスキューでも表彰台を狙いたいです」と力強く宣言。
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小林選手と坂本選手、息の合った2人がボードを手にガッツポーズをしながら海から上がってくるのを期待しよう。

文・写真=LSweb編集室










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